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しおりを挟む「はーお腹いっぱい。スバル君先お風呂入っていいよー。」
スバル君とビストロで食事とお酒を楽しんだ後、ぽやぽやした心地で部屋のベッドにダイブする。
どうにか引き止めようと誘った食事だったけど、何だかんだ考えていたらつい酒が進んで結局時間を楽しんで終わった。
スバル君はお喋りじゃないし愛想もないけど、率直で反応のテンポもいいから一緒にいると気楽で楽しい。
「お前大丈夫?だいぶ酔ってるだろ。」
心配してくれてるのかよく分からないあまり表情のない顔で覗き込まれる。
「大丈夫じゃないよ!スバル君がいっちゃうから!!」
酒の勢いでつい本音が漏れた。
だって仲間や僕が下手したら死んじゃうかもしれないんだよ!?
「あのさ、何であんたは俺に良くしてくれるの?」
「当たり前じゃん!だって、スバル君のおかげで僕たち楽で高額な仕事が出来てたんだよ?それがスバル君いなくなったら、絶対大変になるだろうし。」
あ、今のは口がちょっと滑った。
「…………そう。」
スバル君が両手を僕の顔の横のマットに突いて見下ろしてきた。
さっきより更に無表情。
まずい。完全に自分のことしか考えてない失言だった。
「で、でも!もう無理には言わないよ!スバル君のこれからを応援する!だから、もし勇者が戻って来てって言ったらどうかちょっとでいいから手を貸して欲しい。もう遅いはやめて!お願いします!」
「…………。」
あ、今のも失言か?えっと、えっと、考えがまとまらない。
「スバル君?」
「そんなに楽したいなら、俺と一緒に来る?」
「へ?」
なろう主人公のパーティに入る?
男の僕が?
ありえないでしょ。
なろうのパーティは絶対ハーレム!最初の仲間は猫耳奴隷美少女って決まってるの!
主人公以外の男なんて要らん!!!そんなのブラバだブラバっ!
「いや、絶対ないよ。無理無理。」
完全になろう脳で脊髄反射的な返し。
「…………チッ」
ひぇ、何か見たことないくらいイラついてる。
当たり前か。ついなろう基準で返しちゃったけどけど今の断り方は最低だ。
「スバル君、ごめん。でもパーティのみんなを置いて僕だけ一緒に行くわけには……」
「あっそ。いいよ。今までどおり勇者のクエストの前に補助してやっても。」
「え?」
「あんたのパーティが参加する時にクエストの情報くれるなら出来るだろ。」
「そうだけど、いいの?」
「ああ。ミントが今日から俺の性奴隷になるなら、やってやる。だから抱かせろよ。」
はい?
思わず怪訝な顔でスバル君を見る。
けど、無表情で冗談には見えない。
どゆこと?
スバル君も酔ってるの?
確かに奴隷が最初の仲間になるのは定番だよ。
虐待されてる美少女の獣人奴隷を解放してやって、コロッと好かれて褒めマシーンになるみたいなの鉄板だよ。正直たまらないよ。
でも、今の状況はおかしいよね。
なろうテンプレじゃないよね。
性奴隷とか、そもそもなろうは性描写NGだよ。
この世界ノ○ターン?いや、ムーン○イト(BL)だったの!?
「どうする?」
どうする?どうするって、どうするよ僕!?
「ほ、本当になったら助けてくれる?」
「ああ。」
つまり、僕のケツを犠牲にすればざまぁ回避。みんなのあるかもしれない死亡フラグも回避。
…………。
「わかった。スバル君と、エッチする……。」
前も当然後ろも前世からピッカピカの未使用だからな!もってけ!
「違うだろ。性奴隷にして下さいだろ。」
「う……スバル君の……」
「ご主人様の。」
「ご、ご主人様の、性奴隷にして下さい……」
もう本当なんでこんな事になってるの!?
「っ、はぁ……」
スバル君が切なげなため息を吐いた後、体をかがめて来た。
思わず目を瞑ると、唇にふにっと柔らかいものが触れる。
あ、僕スバル君とキスしてるんだって一拍遅れてわかった。
その頃にはもうぬるりと歯列を割って熱い舌が入り込んできて、ぬちぬち口内を舐め回される。
「んんっ……はぁ、はンっ……」
ぬるぬるの舌に上顎や舌の付け根をなぞられると、くすぐったいようなたまらない感覚がした。
思わず顔を背けようとして、ぐっと顎を掴まれ固定される。
「嫌がるなよ。自分から言ったんだろ。」
一瞬離れた唇が囁くように呟いて、またねっとり吸い付いてきた。
嫌がったわけでは……むしろ案外嫌じゃないのに自分でも驚いてるんだけど。
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