【R18/完結】転生したらモブ執事だったので、悪役令息を立派なライバルに育成します!

ナイトウ

文字の大きさ
上 下
38 / 65
第3章 学園編

11 からかい

しおりを挟む
「ジキス様はタイトルを聞いただけであの書庫のどこにあるのか分かるのですね。凄いです。」

「別に使ってれば何となく覚える。」

「育成科にいらした頃から使ってるんですか?」

「何で私が貴様ごときに質問されなきゃならないんだ。」

「貴方に個人的に興味がございまして。」

「なっ……」

口をあんぐり開けて振り向いたジキスの顔がランプに照らされる。
いや本当、からかい甲斐があるな。

「というのは冗談でございますが、あのように整理がされていない書庫は使っていて支障を感じるのではないかと思いまして、使われている方の意見を伺いたく。」

「それは……」

「あ、お待ち下さい。本をここの部屋に届けなくてはならないので。」

「は?何で私がっ……」

頼んできた教授の部屋の前に来たので、さっと入って本を届ける。
外に出ると、律儀にジキスは待っていた。

俺が言うのもおかしいけど、貴族としてそれでいいのか?

「お待たせして申し訳ありません。」

「貴様なんか待ってない。ただ……待ってない!」

またずんずん歩き出すジキス。
言い訳考えつかなかったですかよ。
面白くてつい笑みがこぼれる。

「書庫の何が不満なんだ。みんなで使ってるんだから場所や配置が変わるのは仕方ないだろう。」

「でも、テーマ別に分けたり、タイトルの順に並べてある方が使いやすいのではございませんか。使用ルールを決め、定期的に整理をするのです。」

「そんな事誰がいちいちするんだ。みんな忙しいのに何も得がない。今だって何となく元あった位置に戻すようになってるから蔵書に一通り目を通せば大体どこに何があるか分かるようにはなってる。十分だろう。」

「一通り目を通すだけで随分かかりませんか?読む必要の無い本もあるのでは。」

「それが学問だろう?必要があるか無いかは自分の目で判断するべきだ。ちゃんと何の本があるか自分で把握して探せて一人前だろう。ある本も読まない怠け者が得する方法なんぞ間違ってる。」

「しかし、それでは時間がかかり過ぎて新しい研究に手が回らないではないですか。過去をなぞるだけで満足する学問こそ怠惰では?」

「新しいことがしたいなら学問の時間でなく寝る時間を削ってやればいいだろう。主人の世話をする片手間でやってる奴が偉そうに。」

はぁ?ブラック思考過ぎない?
情報なんて時間が経てば増える一方なんだから整理して探しやすくして必要なとこだけ取り出して使うって当たり前じゃんか。
詰め込むほど偉いとか旧時代かよ。

あ、旧時代だった。

「では、私があの書庫を変えて見せます。劇的に状況良くなりますので。」

何せ歴史が証明してるからな。
前世の人類の知恵を見せてやる。

「ふん。やれるものならやってみろ。失敗したら笑ってやる。」

「結構ですよ。では、成功したらどうですか?」

「何でもしてやろう。」

ん?今何でもって言った?
本当つんけんしてる割に隙だらけで弄りやすいというか……。

ミレーユみたいにキスでもしてやろうかって気になる。
いや、しないけど、面白いからビビらすくらいはしとくか。
あんだけセクハラ嫌がってたから効果はてき面だろう。

ランプを持ってグッとギリギリまでジキスの顔に顔を寄せる

「では、私とイイコトいたしましょうか。」

態とニッと笑ってみせた。
みるみる青ざめる表情がちょっと面白い。

「ルコ!」

よく知った声に呼ばれて進行方向の暗くなっている廊下の先を見ると、ユーリスがこちらを見て立っていた。
しおりを挟む
↓めちゃくちゃ世話になっている
B L ♂ U N I O N
感想 8

あなたにおすすめの小説

博愛主義の成れの果て

135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。 俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。 そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!

楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。 (リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……) 遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──! (かわいい、好きです、愛してます) (誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?) 二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない! ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。 (まさか。もしかして、心の声が聞こえている?) リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる? 二人の恋の結末はどうなっちゃうの?! 心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。 ✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。 ✳︎小説家になろうにも投稿しています♪

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。 大晦日あたりに出そうと思ったお話です。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

【完結】悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。 皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ! 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!

完結·助けた犬は騎士団長でした

BL
母を亡くしたクレムは王都を見下ろす丘の森に一人で暮らしていた。 ある日、森の中で傷を負った犬を見つけて介抱する。犬との生活は穏やかで温かく、クレムの孤独を癒していった。 しかし、犬は突然いなくなり、ふたたび孤独な日々に寂しさを覚えていると、城から迎えが現れた。 強引に連れて行かれた王城でクレムの出生の秘密が明かされ…… ※完結まで毎日投稿します

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】乙女ゲーの悪役モブに転生しました〜処刑は嫌なので真面目に生きてたら何故か公爵令息様に溺愛されてます〜

百日紅
BL
目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でしたーー。 最後は処刑される運命の悪役モブ“サミール”に転生した主人公。 死亡ルートを回避するため学園の隅で日陰者ライフを送っていたのに、何故か攻略キャラの一人“ギルバート”に好意を寄せられる。 ※毎日18:30投稿予定

処理中です...