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第3章 学園編
8 レポート添削
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打ち合わせの後、席で自分に割り振られたアシスタント業務について振り返っていると2年の1人がやってきて名簿の束を渡された。
育成科の生徒が羅列されたその名簿は、研究科の生徒ごとに割り振られた支援対象者のリストだ。
育成科の生徒には毎週末学園に今の守護獣の状態と次週の育成メニューを記載した小レポートを提出する課題が出されている。
学園側はその小レポートを週明けまでに添削し、生徒は週の頭に受け取った添削を参考にメニューを実行する。
その添削をするのが、研究科に所属する生徒のアシスタント業務の1つだ。
ゲームでも楽に進めたい層向けに同じようなアドバイスシステムがあって、研究科のキャラが指南役で出てきた。
アドバイスに従って育成しても無難な進化しかしないから俺はほとんどスルーだったけど。
そういえば、そのお助けキャラを見てないな。
姉貴によるとそいつも攻略キャラのはず。
「俺たちの代わりに毎週の添削しとけよブライトン。」
渡されたリストを見ながら考えていると、渡してきた2年が言った。
なるほど。そういうことか。
見れば7,8人分の担当範囲だ。
2年の大半が俺に分担を押し付けたいらしい。
確かに毎週末十数人のレポートを添削するなんて面倒だよな。
「承知いたしました。」
逆らおうにも相手は貴族だし、無用なトラブルは推薦してくれた公爵にも恥をかかせる。
引き受けるしかない。
「お待ち下さい。後輩の育成を支援するのも、我々研究科の生徒として重要な研鑽ではないのですか?」
去ろうとする2年に、俺の隣からジキスが声を掛けた。
「そうだな。だから去年一年はやったさ。でも、後一年やるほど私たちは暇じゃないんだ。」
「しかし……」
「何だよ。そんなに大事だと思うなら半分お前がやるか?自分の守護獣さえザコにしか育てられないくせに偉そうに。」
「構いませんが?それに育成科を出た後入軍できずここに進学した時点で自分の守護獣が大したことないのはみな50歩100歩ですよね?」
「お前口の利き方を……」
あーもうトラブルはやめてくれってば。
「お申し出ありがたく受けさせていただきます。貴重な研鑽を積む機会を頂きまして未熟な私には大変光栄なお心遣いです。ガーデンシア様、これは先輩方と私の話でございますので口出し無用に願います。」
勘弁してくれと思いながら2人の視界を遮るように立ち上がり告げると、2年生は鼻を鳴らして席に戻った。
「ひえー。ルコ凄いね。それ全部やるの?出来なくない?」
一部始終を黙って見ていたミレーユが聞いてくる。
「そう思うなら手伝ってくれるか?」
「んー、週末はレイラと遊ぶので忙しいからなぁ。」
やっぱりさっき礼を言わないで正解だった。
「おい、それ……大丈夫なのか?」
反対側からも声をかけられる。
「ええ。心配無用にございます。庇っていただきありがとうございました。」
「平民なんぞ庇うか。あいつらのやり方が気に食わなかっただけだ。」
素直じゃないなぁ。昔のユーリスみたいだ。
「まあルコはなんたってあのクリスタス公爵子息の守護獣を育成してるんだから、1人でもこれくらい余裕だよね!」
ミレーユが『1人』と強調して言う。
もう絶対お前には頼らない。
「ふん。それはユーリスフレッド様が素晴らしいのであってこいつが凄いわけじゃない。」
うわ、何かユーリスが普通に尊敬されてるのすごい新鮮。
話していたらまた2年生に注意されたので話はそれで終わった。
育成科の生徒が羅列されたその名簿は、研究科の生徒ごとに割り振られた支援対象者のリストだ。
育成科の生徒には毎週末学園に今の守護獣の状態と次週の育成メニューを記載した小レポートを提出する課題が出されている。
学園側はその小レポートを週明けまでに添削し、生徒は週の頭に受け取った添削を参考にメニューを実行する。
その添削をするのが、研究科に所属する生徒のアシスタント業務の1つだ。
ゲームでも楽に進めたい層向けに同じようなアドバイスシステムがあって、研究科のキャラが指南役で出てきた。
アドバイスに従って育成しても無難な進化しかしないから俺はほとんどスルーだったけど。
そういえば、そのお助けキャラを見てないな。
姉貴によるとそいつも攻略キャラのはず。
「俺たちの代わりに毎週の添削しとけよブライトン。」
渡されたリストを見ながら考えていると、渡してきた2年が言った。
なるほど。そういうことか。
見れば7,8人分の担当範囲だ。
2年の大半が俺に分担を押し付けたいらしい。
確かに毎週末十数人のレポートを添削するなんて面倒だよな。
「承知いたしました。」
逆らおうにも相手は貴族だし、無用なトラブルは推薦してくれた公爵にも恥をかかせる。
引き受けるしかない。
「お待ち下さい。後輩の育成を支援するのも、我々研究科の生徒として重要な研鑽ではないのですか?」
去ろうとする2年に、俺の隣からジキスが声を掛けた。
「そうだな。だから去年一年はやったさ。でも、後一年やるほど私たちは暇じゃないんだ。」
「しかし……」
「何だよ。そんなに大事だと思うなら半分お前がやるか?自分の守護獣さえザコにしか育てられないくせに偉そうに。」
「構いませんが?それに育成科を出た後入軍できずここに進学した時点で自分の守護獣が大したことないのはみな50歩100歩ですよね?」
「お前口の利き方を……」
あーもうトラブルはやめてくれってば。
「お申し出ありがたく受けさせていただきます。貴重な研鑽を積む機会を頂きまして未熟な私には大変光栄なお心遣いです。ガーデンシア様、これは先輩方と私の話でございますので口出し無用に願います。」
勘弁してくれと思いながら2人の視界を遮るように立ち上がり告げると、2年生は鼻を鳴らして席に戻った。
「ひえー。ルコ凄いね。それ全部やるの?出来なくない?」
一部始終を黙って見ていたミレーユが聞いてくる。
「そう思うなら手伝ってくれるか?」
「んー、週末はレイラと遊ぶので忙しいからなぁ。」
やっぱりさっき礼を言わないで正解だった。
「おい、それ……大丈夫なのか?」
反対側からも声をかけられる。
「ええ。心配無用にございます。庇っていただきありがとうございました。」
「平民なんぞ庇うか。あいつらのやり方が気に食わなかっただけだ。」
素直じゃないなぁ。昔のユーリスみたいだ。
「まあルコはなんたってあのクリスタス公爵子息の守護獣を育成してるんだから、1人でもこれくらい余裕だよね!」
ミレーユが『1人』と強調して言う。
もう絶対お前には頼らない。
「ふん。それはユーリスフレッド様が素晴らしいのであってこいつが凄いわけじゃない。」
うわ、何かユーリスが普通に尊敬されてるのすごい新鮮。
話していたらまた2年生に注意されたので話はそれで終わった。
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↓めちゃくちゃ世話になっている
B L ♂ U N I O N
B L ♂ U N I O N
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