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第3章 学園編
1 入学式後
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「つ゛ーか゛ーれ゛ーた゛ーー!」
入学式とオリエンテーションの後寮の部屋に帰るなりユーリスがリビングのソファにダイブして呻く。
その醜態が流石に家名の恥すぎるので、慌てて脇に控えていた学園のフットマンに下がるように告げて部屋から出した。
ノスニキも式までは大人しくユーリスに従っていたけど、終わったら1人で散歩に行ってしまった。今頃丁度いいお昼寝スポットでも見つけているかもしれない。
だから部屋に2人きりだ。
「ユーリス様、しゃんとなさってください。ここは屋敷と違います。あなたの行動がこの国におけるクリスタス家の評価に繋がります。」
この学園は王政府直轄の組織で全て王家の管理下にあるといっていい場所だ。
「いーじゃないか今日はもう頑張ったんだから。」
確かに、入学式の新入生代表挨拶は立派だった。
調子に乗るからから本人には言わないけど思わず見惚れた。叩き上げの主人公と相反するエリートライバルって感じで、少年漫画みたいな。実際はBLゲームだけど。
「これからも学園が雇った人は部屋に入れないでいいよ。知らない奴に世話されるの嫌だ。僕の面倒はルコが見ればいいだろ。同室なんだから。」
まあ、実態はこんなワガママボーイなわけですが。前に大丈夫って言ってなかったか?
同室といっても、俺たちの部屋は下級貴族の生徒が住むような寮の相部屋じゃない。
俺の個室はこの上級貴族用の広い居室の一角にある小部屋で、本来学園が用意する世話係が使う休憩スペースにあたる所に簡易ベッドが入っただけの質素な造りだ。
それだけで俺が実質ユーリスの従者扱いだと分かる。
学園は付き人を連れた入寮を禁止しているはずだけど実際こういう措置があるってことは、中々歪んだ運用をしているに違いない。
これだから特権階級は……。
「お疲れなら少しベッドで休まれますか?」
「んー。ここで寝る。」
「ではせめてお召し替えを。制服がシワになります。」
「うるさいなあ。」
下から腕を強く引かれてユーリスの体の上に倒れこむ。
背中に腕を回されて抱き込まれ、体がぐっと密着した。
「おふざけはおやめください。」
「ルコも一緒に寝たら静かになるかなって。」
「私は疲れていませんし眠くもありません。」
「昨日あまり寝てないのに?」
そうだな。お前が知らない人に私物を触られたくないってのたまったせいで俺1人で深夜まで荷解きしてたからな!!!
「はい。だから離してください。」
「じゃあもっといい事する?」
首元に鼻先を突っ込まれて襟の境目ををちゅうっと吸われる。
「っ……ユーリス様、お願いですから見える所に痕を付けるのはおやめ下さい。」
これまでは考え無しにぶちゅぶちゅ付けられたのをスカーフの結びを工夫してどうにか隠して来れた。でもこの学園の制服はいかにもゲームの衣装ですというような魔改造ブレザーなので首元を隠すにも限界がある。
「いいじゃないか見せれば。みんなに僕が付けたって言っていいよ。」
いいわけ無いだろ。何考えてんだ。
否定のため頭を必死で横に降る。
紫紺の森で助けて貰ってから、こういう欲求も含めてユーリスに仕えると決めたわけだけど、体を許した後のユーリスの調子の乗り方は正直呆れるしか無い。
元々性癖がバグりぎみだからか冷や汗が出るくらい所構わずだし頻度も相当だ。
猿?俺の主はお猿さんなの?
「じゃあ、どこがいい?ルコが付けて欲しいところ言ってみて。」
「付けるのをおやめ下さい。」
「それはなし。ほら、どこに欲しい?」
本当いい加減にしろ。
こんなの入学したばかりの学校から借りてる寮部屋で初っぱなにすることじゃ無い。
流石にこれは断っていいんじゃないか?
意を決して下から見上げてくるユーリスを見下ろした。
チタナイトのようなグレー混じりの黄緑色をした瞳が楽しそうに目を細めている。
相変わらず、というか最近ますます美形に磨きがかかっている気がする。
断る。よし断るぞ……。
頭では思ってるのに、期待の篭った目で見つめられると何故か鼓動が早くなって拒否する言葉が出て来ない。
結局倒れた体を少し起こしてぴっちり締めたネクタイを緩め、首を戒めるボタンを外した。
下から見上げられながらシャツを鳩尾まで開いて平らな胸板を晒す。
「こ、このあたりでしたら見えないので……」
「じゃあ欲しいところに付けやすいよう僕に近づけて?」
ニコニコ笑いながら唇をアヒルのように突き出すユーリス。
エロオヤジか!!
入学式とオリエンテーションの後寮の部屋に帰るなりユーリスがリビングのソファにダイブして呻く。
その醜態が流石に家名の恥すぎるので、慌てて脇に控えていた学園のフットマンに下がるように告げて部屋から出した。
ノスニキも式までは大人しくユーリスに従っていたけど、終わったら1人で散歩に行ってしまった。今頃丁度いいお昼寝スポットでも見つけているかもしれない。
だから部屋に2人きりだ。
「ユーリス様、しゃんとなさってください。ここは屋敷と違います。あなたの行動がこの国におけるクリスタス家の評価に繋がります。」
この学園は王政府直轄の組織で全て王家の管理下にあるといっていい場所だ。
「いーじゃないか今日はもう頑張ったんだから。」
確かに、入学式の新入生代表挨拶は立派だった。
調子に乗るからから本人には言わないけど思わず見惚れた。叩き上げの主人公と相反するエリートライバルって感じで、少年漫画みたいな。実際はBLゲームだけど。
「これからも学園が雇った人は部屋に入れないでいいよ。知らない奴に世話されるの嫌だ。僕の面倒はルコが見ればいいだろ。同室なんだから。」
まあ、実態はこんなワガママボーイなわけですが。前に大丈夫って言ってなかったか?
同室といっても、俺たちの部屋は下級貴族の生徒が住むような寮の相部屋じゃない。
俺の個室はこの上級貴族用の広い居室の一角にある小部屋で、本来学園が用意する世話係が使う休憩スペースにあたる所に簡易ベッドが入っただけの質素な造りだ。
それだけで俺が実質ユーリスの従者扱いだと分かる。
学園は付き人を連れた入寮を禁止しているはずだけど実際こういう措置があるってことは、中々歪んだ運用をしているに違いない。
これだから特権階級は……。
「お疲れなら少しベッドで休まれますか?」
「んー。ここで寝る。」
「ではせめてお召し替えを。制服がシワになります。」
「うるさいなあ。」
下から腕を強く引かれてユーリスの体の上に倒れこむ。
背中に腕を回されて抱き込まれ、体がぐっと密着した。
「おふざけはおやめください。」
「ルコも一緒に寝たら静かになるかなって。」
「私は疲れていませんし眠くもありません。」
「昨日あまり寝てないのに?」
そうだな。お前が知らない人に私物を触られたくないってのたまったせいで俺1人で深夜まで荷解きしてたからな!!!
「はい。だから離してください。」
「じゃあもっといい事する?」
首元に鼻先を突っ込まれて襟の境目ををちゅうっと吸われる。
「っ……ユーリス様、お願いですから見える所に痕を付けるのはおやめ下さい。」
これまでは考え無しにぶちゅぶちゅ付けられたのをスカーフの結びを工夫してどうにか隠して来れた。でもこの学園の制服はいかにもゲームの衣装ですというような魔改造ブレザーなので首元を隠すにも限界がある。
「いいじゃないか見せれば。みんなに僕が付けたって言っていいよ。」
いいわけ無いだろ。何考えてんだ。
否定のため頭を必死で横に降る。
紫紺の森で助けて貰ってから、こういう欲求も含めてユーリスに仕えると決めたわけだけど、体を許した後のユーリスの調子の乗り方は正直呆れるしか無い。
元々性癖がバグりぎみだからか冷や汗が出るくらい所構わずだし頻度も相当だ。
猿?俺の主はお猿さんなの?
「じゃあ、どこがいい?ルコが付けて欲しいところ言ってみて。」
「付けるのをおやめ下さい。」
「それはなし。ほら、どこに欲しい?」
本当いい加減にしろ。
こんなの入学したばかりの学校から借りてる寮部屋で初っぱなにすることじゃ無い。
流石にこれは断っていいんじゃないか?
意を決して下から見上げてくるユーリスを見下ろした。
チタナイトのようなグレー混じりの黄緑色をした瞳が楽しそうに目を細めている。
相変わらず、というか最近ますます美形に磨きがかかっている気がする。
断る。よし断るぞ……。
頭では思ってるのに、期待の篭った目で見つめられると何故か鼓動が早くなって拒否する言葉が出て来ない。
結局倒れた体を少し起こしてぴっちり締めたネクタイを緩め、首を戒めるボタンを外した。
下から見上げられながらシャツを鳩尾まで開いて平らな胸板を晒す。
「こ、このあたりでしたら見えないので……」
「じゃあ欲しいところに付けやすいよう僕に近づけて?」
ニコニコ笑いながら唇をアヒルのように突き出すユーリス。
エロオヤジか!!
18
↓めちゃくちゃ世話になっている
B L ♂ U N I O N
B L ♂ U N I O N
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