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第3章 学園編
27 待ち伏せ
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週末、更にぶ厚いレポートが増えた第3回目の添削を缶詰でこなし、週明けに教室に行こうと部屋を出た。
そこに、知らない生徒がうさぎを抱えて立っている。
ネクタイを見ると育成科の一年のようだった。
「どうかされましたか?」
少し身構えながら聞く。
生徒に敵意があるようには見えなかったけど、状況的にはどう見ても待ち伏せだ。
不審に思わない方がおかしい。
「あの、突然すみません。お願いです!俺のミミを幻獣にして下さい!!」
手の中のうさぎをずいっとこっちに押し付けられる。
「え?」
「俺、どうしても王立軍に入りたいんです!お願いします!!」
「いえ、あの、私に守護獣を進化させることは出来ません。守護獣は主人である貴方と共に生きて成長する存在ですから。」
「けどっ!貴方が世話したクリスタス公爵や息子のユーリスフレッドの守護獣も幻獣になったって。先週進化したネイサムの幻獣も、直前に貴方がブラッシングしたんだろ?」
参ったな。単なる偶然なのにそんな話になってるのか。
「それは貴方の誤解です。」
「誤魔化さないでください。する生徒としない生徒がいるなんて不公平じゃないですか!」
「ですから……」
「ルーコ!朝ごはん食べにいこ!」
押し問答になりかけていると廊下の奥からミレーユが歩いてきた。
「ブライトンさんは今俺と話して……ヒッ、蛇っ!!」
生徒がミレーユから距離を取るように後ずさる。
それを見て俺の横に立ったミレーユが二ッと笑った。
その瞳の虹彩は金色に変わり、瞳孔が縦に伸びている。
「そだよぉ。しかも毒ヘビなんだ。その美味しそうなうさぎちゃんに試してみる?」
レイラがシューシューと音を立てながら舌をチロチロ動かす。
生徒は青ざめて固まってしまった。
その隙に、ミレーユが俺の腕を掴んで歩き出す。
「ありがとうミレーユ。」
「どういたしまして。奴の顔色見た?あー久しぶりに面白かった。」
元の茶色に戻った瞳を細めてミレーユが吹き出す。
「蛇が苦手だったのかな。あんなに怖がらなくても。」
「どっちかっていうと、アレが普通の反応かなぁ。初対面で撫でてくれたのなんてルコが初めてだよ。」
「そうなのか?俺の実家の農場だと、レイラくらいの蛇はよく出るけどな。」
何か蛇の守護獣には特別な意味合いがあるんだろうか。ゲームでは主人公の守護獣がトカゲだったから、蛇系統に進化させて最後はヤマタノオロチにするって育て方もあったけど。
「ふふっ。あ、そうそう。教室には行かないで、倉庫でルディと合流するから。」
「え?何で?」
「教室にもさっきみたいのが何人も来てるみたい。今ジキスが追い出してるけど。」
「どうして分かるんだ?」
「ネイアがレイラにテレパスで送ってくれたんだよ。俺、レイラの言うことは結構分かるからさ。」
何だって。守護獣同士はそんな事も出来るのか。
ミレーユが言うみたいに主人が守護獣とそこまで具体的にコミュニケーションできるのも珍しい。
高度なシンクロ技が使えるし、ミレーユって凄いやつなんだな。
そこに、知らない生徒がうさぎを抱えて立っている。
ネクタイを見ると育成科の一年のようだった。
「どうかされましたか?」
少し身構えながら聞く。
生徒に敵意があるようには見えなかったけど、状況的にはどう見ても待ち伏せだ。
不審に思わない方がおかしい。
「あの、突然すみません。お願いです!俺のミミを幻獣にして下さい!!」
手の中のうさぎをずいっとこっちに押し付けられる。
「え?」
「俺、どうしても王立軍に入りたいんです!お願いします!!」
「いえ、あの、私に守護獣を進化させることは出来ません。守護獣は主人である貴方と共に生きて成長する存在ですから。」
「けどっ!貴方が世話したクリスタス公爵や息子のユーリスフレッドの守護獣も幻獣になったって。先週進化したネイサムの幻獣も、直前に貴方がブラッシングしたんだろ?」
参ったな。単なる偶然なのにそんな話になってるのか。
「それは貴方の誤解です。」
「誤魔化さないでください。する生徒としない生徒がいるなんて不公平じゃないですか!」
「ですから……」
「ルーコ!朝ごはん食べにいこ!」
押し問答になりかけていると廊下の奥からミレーユが歩いてきた。
「ブライトンさんは今俺と話して……ヒッ、蛇っ!!」
生徒がミレーユから距離を取るように後ずさる。
それを見て俺の横に立ったミレーユが二ッと笑った。
その瞳の虹彩は金色に変わり、瞳孔が縦に伸びている。
「そだよぉ。しかも毒ヘビなんだ。その美味しそうなうさぎちゃんに試してみる?」
レイラがシューシューと音を立てながら舌をチロチロ動かす。
生徒は青ざめて固まってしまった。
その隙に、ミレーユが俺の腕を掴んで歩き出す。
「ありがとうミレーユ。」
「どういたしまして。奴の顔色見た?あー久しぶりに面白かった。」
元の茶色に戻った瞳を細めてミレーユが吹き出す。
「蛇が苦手だったのかな。あんなに怖がらなくても。」
「どっちかっていうと、アレが普通の反応かなぁ。初対面で撫でてくれたのなんてルコが初めてだよ。」
「そうなのか?俺の実家の農場だと、レイラくらいの蛇はよく出るけどな。」
何か蛇の守護獣には特別な意味合いがあるんだろうか。ゲームでは主人公の守護獣がトカゲだったから、蛇系統に進化させて最後はヤマタノオロチにするって育て方もあったけど。
「ふふっ。あ、そうそう。教室には行かないで、倉庫でルディと合流するから。」
「え?何で?」
「教室にもさっきみたいのが何人も来てるみたい。今ジキスが追い出してるけど。」
「どうして分かるんだ?」
「ネイアがレイラにテレパスで送ってくれたんだよ。俺、レイラの言うことは結構分かるからさ。」
何だって。守護獣同士はそんな事も出来るのか。
ミレーユが言うみたいに主人が守護獣とそこまで具体的にコミュニケーションできるのも珍しい。
高度なシンクロ技が使えるし、ミレーユって凄いやつなんだな。
16
↓めちゃくちゃ世話になっている
B L ♂ U N I O N
B L ♂ U N I O N
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