【R18/完結】新卒社員、エリート若様の寵愛でどんどんお部屋が快適に

ナイトウ

文字の大きさ
上 下
12 / 25

12,

しおりを挟む


コーヒーも飲み終わって部屋に戻り、先輩が見たいと言うので僕が普段見ている動画サイトのチャンネルを一緒に見ることになった。

タブレットなんて気の利いたものは無いので、大学時代から使っている型落ちのPCで動画サイトにアクセスした。
ベッドを背もたれ代わりに二人で横に並んで14インチの画面を覗き込む。
動物園のチャンネルとか、最近発売されたゲームの実況動画とかを紹介した。
先輩は興味深そうに画面を見たり説明する僕の顔を見たりしている。

「花邑さんって動画サイトとか見ないんですか?」

「そうだね。普段は見ない。」

「じゃあサブスク映画とかは?家族アカウントあるんで、そっちの方が良ければそっち見てもいいですよ。」

「そういうのも使ってないな。」

今時動画もサブスクも見ないなんて珍しい。

「何か趣味とか休みの日にやることってありますか?」

興味本位で聞いてみた。

「休みの日は付き合いのゴルフが多いな。あと、子供の頃から茶道と弓道は続けているよ。」

「さどうときゅうどう。」

そうだこの人若様だった。
画面見ながらいいねボタン押してるより圧倒的に若様なご趣味。

「興味あるなら今度一緒にやってみるかい?道具も俺の予備をあげるし……」

「いえ、結構です。」

自分がさどうときゅうどうにふさわしい人間とは到底思えない。

「あ、でもゴルフはやっぱり今の会社にいるならやっておいた方が良いかなって。難しいですか?」

思いついて聞いてみた。
正直な話、道具買うだけで30万、1回のプレイに交通費やら含めたら1万円、さらにレッスン代、と聞いているのでしばらく手を出すつもりはないけど。

「練習すれば大丈夫だ。俺が教えてあげるよ。道具も沢山あるるからユウくんは心配しなくてい。」

それは魅力的な申し出……いやいや、僕は集りじゃないぞ。

「やっぱりいいです。今の部署では必要ないし。」

「そう……残念だな。ユウくんと一緒なら絶対楽しいのに。」

「いや、僕なんて絶対足手まといですよ。球技とか苦手なんで。」

「そんな事ないよ。最近ユウくんといるのが一番楽しいから。……そうだ、趣味『ユウくん』でもいい?」

「よくないと思います。」

何で『いいこと思いついた』みたいな顔してんだこの人。

「もう趣味だと思うけどな。」

「ダメです。あ、そろそろお昼じゃないですか。今度は僕が用意しますね。」

一緒に付いて来ようとする先輩に動画視聴の課題をいくつか出してキッチンに行く。
お昼は冷凍チャーハンに決めた。
ドラッグストアが毎週水曜日にやる半額デーで買っといた特用サイズ。

レンチンして、焼いた目玉焼きを乗せたら完成だ。
丼に入れるのがポイントだったりする。
平皿よりパラパラの米粒を掬いやすいからね。

二つ持って課題をこなしている先輩に近づき、丼を一個渡した。

「ありがとう。このまま手に持って食べるのかい?」

丼を見下ろして目を丸くする先輩。

「だって机にはパソコンあるし。並ばないと一緒に動画見られませんよ?」

自分も座ろうとして、はたと気付く。

「中濃ソースかけ忘れました。取ってきます。」

「チャーハンに?」

「目玉焼きなので。花邑さんもかけますか?」

「…………じゃあ……。」

丼を二つ持ってもらい、取ってきたソースをそれぞれに掛けた。
先輩は何だか複雑そうな顔でそれを見ていたけど、食べてみたら美味しさが分かったのか嬉しそうにしている。
僕も画面を見るために先輩の肩に触れるくらいのところに詰めて座ってチャーハンを食べた。

それから時間潰しにいくつか動画を見て、僕が好きなお笑い芸人のコントを流し見する感じになった。
先輩は知らない芸人だったみたいだけど、僕の横で画面を眺めている。

見ていたら、ツッコミの発言がツボで思わず吹き出した。

「あっはっは、花邑さん、今の笑えません?」

同意を求めて隣を見れば、先輩がじっと僕を見下ろしていた。

「花邑さん?」

その雰囲気に心臓がドキリとする。
見つめ返すと更に心音がドクドク鳴った。
先輩の顔が黙ったままゆっくり近づいてくる。
おどけた動画の音声がだんだん遠くにいくようだった。
キスされるかも、と思ったけど動く気にはならなくてギュッと目を瞑った。


ピンポーン、ピンポーン、


目を瞑った途端インターホンが鳴ってパッと目を開いた。
先輩の顔がすぐ目の前にあって、我に返った表情をしている。

「あ、来たんじゃないですかね。」

まだドキドキする胸を押さえながらそうわざとらしく軽い口調で言って、まだ呼び出し音が鳴っているインターフォンに応じた。










しおりを挟む
感想 15

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

【完結】何一つ僕のお願いを聞いてくれない彼に、別れてほしいとお願いした結果。

N2O
BL
好きすぎて一部倫理観に反することをしたα × 好きすぎて馬鹿なことしちゃったΩ ※オメガバース設定をお借りしています。 ※素人作品です。温かな目でご覧ください。 表紙絵 ⇨ 深浦裕 様 X(@yumiura221018)

処理中です...