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9(終)
しおりを挟む二ツ半の鐘の音が聞こえる。
二ツ半!?
「仕事っ!」
慌てて飛び起きたら、目の前の人影がサッと避けた。
「あっ、勇者様っ!!すみません俺、寝ちゃって!!」
ベッドの横に座った勇者様を向いて言う。
「構わない。私が舞い上がって無理をさせすぎたから。……体は綺麗にしたが、大丈夫か?」
言われて思い出す。そうだった……俺、勇者様と……両想いになったんだ!そんで熱い時間を……ってあれ?あんまり思い出せない!?
何で!?何で覚えてないの俺!?
絶対に幸せだったに違いない記憶がおぼろげで、思わず泣きそうになって勇者様を見る。
「そんな顔をされると胸が痛むな。……君が私を受け入れられなくても仕方がないが……。」
俺が覚えてないことにがっかりしてるみたいだ。
俺が嫌だったから忘れたと思ってるのかな?
そんなはずない。俺が嫌がったはずない。覚えてないけど。
えっと、えっと、そう!すごい気持ちよかったもん!
それははっきり覚えてる!!
「勇者様、あの、あの、俺すっっごく気持ちよかったです!だから、えっと、また同じようにしてください!!」
同じようにして貰って次のを覚えてれば今日忘れたことはチャラになるもんね。
俺頭いい。
「……本当か?無理してないだろうな?」
「無理なんてそんな。俺丈夫なんで!野山駆け回って育ってるんで!!」
ベッドから飛び降りてその場でピョンピョン跳ねる。
実際体は何ともなかった。
男同士ってけっこう大変って聞いたけどどこも痛くもだるくもない。
きっと勇者様が優しく抱いてくださったからに違いない。
ますます惚れてしまう。
ああ、それなのに何で覚えてないの俺……。
「ケイナス、ありがとう。私を受け入れてくれて。愛しているよ。今夜はうちに泊まってくれるかい?」
「はっ、はいっ!俺も大好きです勇者様!!」
今度こそ絶対甘い夜を胸に刻みつけるぞ、と決心をして俺は風に揺れる乾いた下草を踏みしめながら坂道を駆け下りた。
(おわり)
——————-
読んでいただきありがとうございました。
こんな感じのアホエロ短編を垂れ流してるので他作品も読んでもらえれば嬉しいです。
応援ありがとうございます!
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みんなの感想(2件)
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最高でした。続きがあれば読みたいぐらいです。
楽しんで頂きありがとうございます!
今のところ続く話は思いつかないんですが、2人のこんな所がよかった、こんなやりとりが見たいなどあれば参考にさせていただきますので是非教えて下さい!😊
面白くて良かったです‼️ドMの主人公って珍しくて面白いと思いました。これからも面白い作品をお願いします‼️応援してます‼️
コメントありがとうございます!
主人公は今後も躾けられて開花していくと思われます。
これからも短編を乗せてく予定なのでお付き合い下さい!!