R18/短編/ツンな激つよつよ平民将軍、平凡官吏に絶賛デレデレ執着中!

ナイトウ

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満月だから、灯籠いらずで外を歩けた。

井戸で水を汲み、しこたま飲んだ後で吸われたと思われる胸あたりを適当に流して拭う。

前の合わせが全開の状態で濯いだから、屈んだら布が垂れて所々水で湿ってしまった。まー夏だし乾くまではこのままでいっかぁ。
少し酔い覚ましに散歩しようかな?
そう思い立って、ふらふらとヘキ様の厩舎に向かった。

流石に邪魔しちゃうから夜中に忍び込む気は無くて、窓越しに寝てるとこ見たいなって考えでひょいと窓に嵌められた格子の隙間を覗く。

「ふぁ?」

そこにはヘキ様の厩の柵にもたれて寝るセイ君がいた。
声が届いたのか目を覚ましこちらを見ると驚いてはね起きる。
すぐに窓の方に寄ってきた。

「セイ君だぁ、こんばんわぁ。何でこんな所で寝てるの?」

さっき起きがけに煽った酒が更に回ってきたのかふわふわする。
何だか愉快でニマニマ笑いっぱなしだ。

「いや、これは……その格好はどうした?」

前全開の上半身を睨みつけながら聞かれる。

「へ?あぁ、これぇ?飲んでたらやられちゃって。」

「襲われたのか?」

「へ、いやぁ……」

違うと言う間もなく凄い勢いでセイ君が建屋から出てきて私のとこまで来た。
え、ちょっと何か凄い怖くない?
背中から黒い何か出てそう。

「セイ君何でそんな怒ってるの?」

大したことじゃないのになぁ。

「誰がやった?……殺してやる。」

すっごい低い声。
酔いがちょっと冷める。

「ちがうよぉ。襲われてないれす。単なる酒乱というか、酔うと人の胸を吸う変なやつなんだけど悪いやつじゃないからね。私が今からちゃんともうしない様に言っとくからセイ君は気にしないでね?ね?」

何か怒ってるから、部屋に帰ろっかな。踵を返した所で腕をがしっと掴まれる。

「そいつのとこに行くのか?」

「え、うん。ちゃんとめっ!ってしとくからね。セイ君心配してくれてありがとぉ。」

歩き出そうとしても足が空回りする。
進まないなぁ。腕離してくれないかな。

「……だめだ。行くな。」

そう言われた後、ふわっと体が浮いた。
腿をセイ君の腕に抱えられて、子供が親に前抱きされてるみたいに抱っこされる。

「わぁ!降ろしてよ。重いでしょ。」

「そう思うなら暴れるな。」

セイ君が私を抱えながら歩き出した。

「どこ行くの?」

「俺の部屋だ。今日はそこで寝ろ。」

んん?何で今私はセイ君にだっこされてセイ君の部屋に向かってるんだ?
寝るから?

思考が追いつかないうちに広くて立派な居室に連れ込まれる。
寝台に降ろされ、濡れていた袍や下着を脱がされた。

袴一丁で寝ろってことかな。ちょっと肌寒そうだけど掛け布もあるしいっか。
コロンと仰向けになり手探りで布を手繰り寄せる。

「これ、何だ?」

布をかける前に、寝台に腰掛けて私を見下ろすセイ君が私の胸に指を置いて何かを指した。
見れば、乳首の横に虫刺されのような痣ができている。
平白が吸った跡だろう。

「あーもー、跡付けるなって言ってるのになぁ。」

こしこし擦るけど、落ちるわけはない。

「……そいつは契りを交わしたやつなのか?」

「契り?」

「仲良いのか?」

ん?義兄弟かってことかな?

「仲はいいけど、同僚だよ。何も交わしてない。」

「昼間、俺に兄と思えと言っただろ。」

「うん。」

「誰にでも言うのか?」

「うーん、いや、あれが初めてだよ。セイ君が弟だったら良いなって思って。」

なんたってヘキ様の相棒だからね。
特別肩入れしても仕方ないってもんだ。

「そうか。……じゃあ、なってやっても良い。」

「え?」

「リンの弟に。」

……おお?凄い義弟が出来てしまった!

「うん。よろしくねぇ……っ」

嬉しくてセイ君を見上げながらヘラっと笑った直後、セイ君の唇が私のそれに重なってぎゅっと押し付けられた。
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↓めちゃくちゃ世話になっている
B L ♂ U N I O N
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