37 / 46
【R15】番外編
3
しおりを挟む
傾向: 誘い受
廊下をスリッパでペタペタと歩いてジョンの寝室に辿り着く。
コンコンドアを叩くと内側から扉が開いてジョンが出てきた。
「ルネ、……今日も寝られないのか?」
「うん。多分。」
クマをぎゅっと抱いてジョンを見上げると、すぐに中に入れてくれた。
いい歳した男が女の子の持ってるようなぬいぐるみを抱えても変なだけだと思うけど、ジョンはそれが好きらしい。
なのでわざわざ持ってきたんだけど、ふと冷静になると自分の必死さにちょっと呆れる。
自分がこんなにあざといことする人間だと思ってなかった。
でも、まんまと引っかかるジョンの反応が嬉しくて、もっと気を引きたくなってしてしまう。
思惑通り今日も部屋に入れてくれた。
寝付けないことを理由にジョンのベッドに潜り込むようになって何日か経つ。
もちろん、本当に寝付けないからじゃない。
慣れた様子でさっさとベッドに近寄ってクマを枕元に置き、横たわった。
ジョンはその後ゆっくりベッド脇に来ると、僕をスルーして僕が寝ていない方の半分に寝そべる。
まあ、これはこれまでの経験から予想通り。
これだけでガッついてくれるなら楽だけどそんなのジョンじゃない。
出来るだけ端っこに寄って窮屈そうにしてる所を、パジャマの袖を引っ張った。
「寒いからこっち来て。」
「あ、ああ。」
いつもそう言ってるからわかってると思うけど、今日もジョンは僕が言ってやっと体を近づけてくれた。
それでもギリギリ体が触れないところでピタっと止まる。これもいつも通り。
もう、それじゃ温かくないのに。
なので、自分から最後のちょっとを近づいてジョンに向くように横向きの体勢で体をくっつけ、肩口に顔を埋めた。
触れたところからジョンの体がビクっと跳ねるのがわかる。
心なしかジョンの体温が上がってる気がする。
こうしてるだけでちょっと心地がいいので暫くそうして体をくっつけてみるけど、ジョンは微動だにしない。
このままじっとしてると僕も眠くなってくるし次の行動に出ることにする。
横向きの体のまま自由に動く方の腕をそそっとジョンの体に伸ばした。
発達した胸筋に覆われた胸の上を撫でるように探ると、心臓がどくどくしてる感触かが分かる。
肩に押し付けた耳からも音は聞こえてたけど、両方で感じると自分の熱も一気に上がっていく。
自分もこの熱い体に色々なところを触って欲しい。
はぁ、と小さく息を吐いて、胸に当てた手を下にずらしていく。
お腹の方を触ろうとした。
「る、ルネっ!」
指先が腹筋の隙間に空いたおへそに触れたところで、手が掴まれた。
ぎゅっと握られて、手のひらのあったかい感触が伝わってくる。
余計にドキドキした。
いくら奥手なジョンでも、今日こそ僕がジョンとシたいこと伝わったかな。
ジョンの顔があるあたりを見上げる。
暗くて影になってるから細かい表情は分からないけど、僕が大好きな耳を赤くして怒ったような嬉しいような顔をしてるんだろうか。
僕は今、演技じゃない本当の大好きって顔をしてるんだけど。
「ね、キスして?」
目の前の影に向かって言うと、グッとそれが近づいてきた。
胸がドキドキでいっぱいになってるのを感じながら目を瞑る。
直後、予想していないところに唇が触れる感触がして、すぐにちゅっと小さなリップ音だけ残して離れていった。
強請ったキスがおでこにされた事を理解して、次に口に来るのかなと思い直し少し顔をそらして待つ。
けど、それは来なかった。
「……ほら、寝るんだろう?おやすみ」
ジョンにすり寄っていた体を、肩を掴まれて仰向けのきちんと寝る姿勢に整えられた。
傍に放っておいたクマをまた抱えさせられ、肩まで布団をかけられる。
最後にポンポン布団の上からあやす様に優しく叩いた後、自分も布団に入って寝る体勢になってしまった。
……ん?え?どういうこと?
こんなに分かりやすく誘ってるのに、分からないはずないのに、止められたんだけど。
僕たち夫婦だよね?
エッチしてもおかしくないよね?
むしろシたいぞ。ジョンはシたくないの?
ゆっくり横を向いて隣の男の様子を見てみる。
整った横顔のシルエットしかわからないけど、寝るしかしませんというのが伝わってくる形だった。
な、な、なんだよ!酷くない!?
僕がこんなにしてるのに……
恨めしく睨んでみるけど、この暗さじゃ伝わらないだろう。
なんだか惨めになってきた。
……あーもういいよ!
実家に帰らせてもらう!!
廊下をスリッパでペタペタと歩いてジョンの寝室に辿り着く。
コンコンドアを叩くと内側から扉が開いてジョンが出てきた。
「ルネ、……今日も寝られないのか?」
「うん。多分。」
クマをぎゅっと抱いてジョンを見上げると、すぐに中に入れてくれた。
いい歳した男が女の子の持ってるようなぬいぐるみを抱えても変なだけだと思うけど、ジョンはそれが好きらしい。
なのでわざわざ持ってきたんだけど、ふと冷静になると自分の必死さにちょっと呆れる。
自分がこんなにあざといことする人間だと思ってなかった。
でも、まんまと引っかかるジョンの反応が嬉しくて、もっと気を引きたくなってしてしまう。
思惑通り今日も部屋に入れてくれた。
寝付けないことを理由にジョンのベッドに潜り込むようになって何日か経つ。
もちろん、本当に寝付けないからじゃない。
慣れた様子でさっさとベッドに近寄ってクマを枕元に置き、横たわった。
ジョンはその後ゆっくりベッド脇に来ると、僕をスルーして僕が寝ていない方の半分に寝そべる。
まあ、これはこれまでの経験から予想通り。
これだけでガッついてくれるなら楽だけどそんなのジョンじゃない。
出来るだけ端っこに寄って窮屈そうにしてる所を、パジャマの袖を引っ張った。
「寒いからこっち来て。」
「あ、ああ。」
いつもそう言ってるからわかってると思うけど、今日もジョンは僕が言ってやっと体を近づけてくれた。
それでもギリギリ体が触れないところでピタっと止まる。これもいつも通り。
もう、それじゃ温かくないのに。
なので、自分から最後のちょっとを近づいてジョンに向くように横向きの体勢で体をくっつけ、肩口に顔を埋めた。
触れたところからジョンの体がビクっと跳ねるのがわかる。
心なしかジョンの体温が上がってる気がする。
こうしてるだけでちょっと心地がいいので暫くそうして体をくっつけてみるけど、ジョンは微動だにしない。
このままじっとしてると僕も眠くなってくるし次の行動に出ることにする。
横向きの体のまま自由に動く方の腕をそそっとジョンの体に伸ばした。
発達した胸筋に覆われた胸の上を撫でるように探ると、心臓がどくどくしてる感触かが分かる。
肩に押し付けた耳からも音は聞こえてたけど、両方で感じると自分の熱も一気に上がっていく。
自分もこの熱い体に色々なところを触って欲しい。
はぁ、と小さく息を吐いて、胸に当てた手を下にずらしていく。
お腹の方を触ろうとした。
「る、ルネっ!」
指先が腹筋の隙間に空いたおへそに触れたところで、手が掴まれた。
ぎゅっと握られて、手のひらのあったかい感触が伝わってくる。
余計にドキドキした。
いくら奥手なジョンでも、今日こそ僕がジョンとシたいこと伝わったかな。
ジョンの顔があるあたりを見上げる。
暗くて影になってるから細かい表情は分からないけど、僕が大好きな耳を赤くして怒ったような嬉しいような顔をしてるんだろうか。
僕は今、演技じゃない本当の大好きって顔をしてるんだけど。
「ね、キスして?」
目の前の影に向かって言うと、グッとそれが近づいてきた。
胸がドキドキでいっぱいになってるのを感じながら目を瞑る。
直後、予想していないところに唇が触れる感触がして、すぐにちゅっと小さなリップ音だけ残して離れていった。
強請ったキスがおでこにされた事を理解して、次に口に来るのかなと思い直し少し顔をそらして待つ。
けど、それは来なかった。
「……ほら、寝るんだろう?おやすみ」
ジョンにすり寄っていた体を、肩を掴まれて仰向けのきちんと寝る姿勢に整えられた。
傍に放っておいたクマをまた抱えさせられ、肩まで布団をかけられる。
最後にポンポン布団の上からあやす様に優しく叩いた後、自分も布団に入って寝る体勢になってしまった。
……ん?え?どういうこと?
こんなに分かりやすく誘ってるのに、分からないはずないのに、止められたんだけど。
僕たち夫婦だよね?
エッチしてもおかしくないよね?
むしろシたいぞ。ジョンはシたくないの?
ゆっくり横を向いて隣の男の様子を見てみる。
整った横顔のシルエットしかわからないけど、寝るしかしませんというのが伝わってくる形だった。
な、な、なんだよ!酷くない!?
僕がこんなにしてるのに……
恨めしく睨んでみるけど、この暗さじゃ伝わらないだろう。
なんだか惨めになってきた。
……あーもういいよ!
実家に帰らせてもらう!!
5
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説

うまく笑えない君へと捧ぐ
西友
BL
本編+おまけ話、完結です。
ありがとうございました!
中学二年の夏、彰太(しょうた)は恋愛を諦めた。でも、一人でも恋は出来るから。そんな想いを秘めたまま、彰太は一翔(かずと)に片想いをする。やがて、ハグから始まった二人の恋愛は、三年で幕を閉じることになる。
一翔の左手の薬指には、微かに光る指輪がある。綺麗な奥さんと、一歳になる娘がいるという一翔。あの三年間は、幻だった。一翔はそんな風に思っているかもしれない。
──でも。おれにとっては、確かに現実だったよ。
もう二度と交差することのない想いを秘め、彰太は遠い場所で笑う一翔に背を向けた。

ガラス玉のように
イケのタコ
BL
クール美形×平凡
成績共に運動神経も平凡と、そつなくのびのびと暮らしていたスズ。そんな中突然、親の転勤が決まる。
親と一緒に外国に行くのか、それとも知人宅にで生活するのかを、どっちかを選択する事になったスズ。
とりあえず、お試しで一週間だけ知人宅にお邪魔する事になった。
圧倒されるような日本家屋に驚きつつ、なぜか知人宅には学校一番イケメンとらいわれる有名な三船がいた。
スズは三船とは会話をしたことがなく、気まずいながらも挨拶をする。しかし三船の方は傲慢な態度を取り印象は最悪。
ここで暮らして行けるのか。悩んでいると母の友人であり知人の、義宗に「三船は不器用だから長めに見てやって」と気長に判断してほしいと言われる。
三船に嫌われていては判断するもないと思うがとスズは思う。それでも優しい義宗が言った通りに気長がに気楽にしようと心がける。
しかし、スズが待ち受けているのは日常ではなく波乱。
三船との衝突。そして、この家の秘密と真実に立ち向かうことになるスズだった。

[完結]閑古鳥を飼うギルマスに必要なもの
るい
BL
潰れかけのギルドのギルドマスターであるクランは今日も今日とて厳しい経営に追われていた。
いつ潰れてもおかしくないギルドに周りはクランを嘲笑するが唯一このギルドを一緒に支えてくれるリドだけがクランは大切だった。
けれども、このギルドに不釣り合いなほど優れたリドをここに引き留めていいのかと悩んでいた。
しかし、そんなある日、クランはリドのことを思い、決断を下す時がくるのだった。

【完】三度目の死に戻りで、アーネスト・ストレリッツは生き残りを図る
112
BL
ダジュール王国の第一王子アーネストは既に二度、処刑されては、その三日前に戻るというのを繰り返している。三度目の今回こそ、処刑を免れたいと、見張りの兵士に声をかけると、その兵士も同じように三度目の人生を歩んでいた。
★本編で出てこない世界観
男同士でも結婚でき、子供を産めます。その為、血統が重視されています。


あと一度だけでもいいから君に会いたい
藤雪たすく
BL
異世界に転生し、冒険者ギルドの雑用係として働き始めてかれこれ10年ほど経つけれど……この世界のご飯は素材を生かしすぎている。
いまだ食事に馴染めず米が恋しすぎてしまった為、とある冒険者さんの事が気になって仕方がなくなってしまった。
もう一度あの人に会いたい。あと一度でもあの人と会いたい。
※他サイト投稿済み作品を改題、修正したものになります
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる