34 / 46
両想い編
34, エピローグ(終)
しおりを挟む
「ずるい……ずるい……」
隣でジョンがぶつぶつ呟いている。
エドヴァル様が帰った後問いただされて、王宮から去る前に『夜明けのひばり』の演技を見せた事を話してからずっとこうだ。
「ジョン、もう済んだ事なんだから……」
「でも、俺も見たかった。エドヴァルだけが見たなんてずるい……。」
大の男がこんな事で本気で拗ねている。
……とても面倒くさい。
「ジョン、見せたのは所詮演技だよ。僕はジョンになら本当の気持ちを見せてあげるのに、嘘が見たいの?」
そう言うとジョンが赤い顔でこちらを見た。
よし、後一押しだ。
ぐっと顔を近づけて畳みかける。
「ね、ジョンが欲しいのは嘘の僕?本当の僕?」
これでどうにか機嫌治らないかな。
「……全部。」
その声と真剣な表情にキュンとする間も無く、向こうからさらに顔が近づいてきた。
あっという間に唇に柔らかい感触がして、ぐっと押し付けられる。
キスされてる、と思った瞬間一気に心臓が跳ね上がった。
湧き上がる甘い感覚に頭が痺れたようになる。
しばらく目を瞑ってじっとしていても感触は去って行かなくて、もっとするのかなって期待が膨らんだ。
舌とか入ってくるかな。
口開けたほうがいい?
色々回らない頭で考えるけど、一向にジョンがそこから動く気配がない。
流石に気になって目を開けて頭を離すと、あっさり触れていたところが離れていった。
「……ジョン?まさか……」
「……。」
目の前には、カチコチに固まって動かないジョンがいる。
ちょっと、キスだけでこれってこの先どうすんの!?
思わず胸ぐらを掴みそうになったけど、固まった顔が可愛かったのでほっぺにキスするだけで許してあげた。
(おわり)
————————————-
ここまでお付き合いありがとうございました!
番外でもう少しいちゃこく話が続きます。
隣でジョンがぶつぶつ呟いている。
エドヴァル様が帰った後問いただされて、王宮から去る前に『夜明けのひばり』の演技を見せた事を話してからずっとこうだ。
「ジョン、もう済んだ事なんだから……」
「でも、俺も見たかった。エドヴァルだけが見たなんてずるい……。」
大の男がこんな事で本気で拗ねている。
……とても面倒くさい。
「ジョン、見せたのは所詮演技だよ。僕はジョンになら本当の気持ちを見せてあげるのに、嘘が見たいの?」
そう言うとジョンが赤い顔でこちらを見た。
よし、後一押しだ。
ぐっと顔を近づけて畳みかける。
「ね、ジョンが欲しいのは嘘の僕?本当の僕?」
これでどうにか機嫌治らないかな。
「……全部。」
その声と真剣な表情にキュンとする間も無く、向こうからさらに顔が近づいてきた。
あっという間に唇に柔らかい感触がして、ぐっと押し付けられる。
キスされてる、と思った瞬間一気に心臓が跳ね上がった。
湧き上がる甘い感覚に頭が痺れたようになる。
しばらく目を瞑ってじっとしていても感触は去って行かなくて、もっとするのかなって期待が膨らんだ。
舌とか入ってくるかな。
口開けたほうがいい?
色々回らない頭で考えるけど、一向にジョンがそこから動く気配がない。
流石に気になって目を開けて頭を離すと、あっさり触れていたところが離れていった。
「……ジョン?まさか……」
「……。」
目の前には、カチコチに固まって動かないジョンがいる。
ちょっと、キスだけでこれってこの先どうすんの!?
思わず胸ぐらを掴みそうになったけど、固まった顔が可愛かったのでほっぺにキスするだけで許してあげた。
(おわり)
————————————-
ここまでお付き合いありがとうございました!
番外でもう少しいちゃこく話が続きます。
16
お気に入りに追加
532
あなたにおすすめの小説
天の求婚
紅林
BL
太平天帝国では5年ほど前から第一天子と第二天子によって帝位継承争いが勃発していた。
主人公、新田大貴子爵は第二天子派として広く活動していた亡き父の跡を継いで一年前に子爵家を継いだ。しかし、フィラデルフィア合衆国との講和条約を取り付けた第一天子の功績が認められ次期帝位継承者は第一天子となり、派閥争いに負けた第二天子派は継承順位を下げられ、それに付き従った者の中には爵位剥奪のうえ、帝都江流波から追放された華族もいた
そして大貴もその例に漏れず、邸宅にて謹慎を申し付けられ現在は華族用の豪華な護送車で大天族の居城へと向かっていた
即位したての政権が安定していない君主と没落寸前の血筋だけは立派な純血華族の複雑な結婚事情を描いた物語
君のことなんてもう知らない
ぽぽ
BL
早乙女琥珀は幼馴染の佐伯慶也に毎日のように告白しては振られてしまう。
告白をOKする素振りも見せず、軽く琥珀をあしらう慶也に憤りを覚えていた。
だがある日、琥珀は記憶喪失になってしまい、慶也の記憶を失ってしまう。
今まで自分のことをあしらってきた慶也のことを忘れて、他の人と恋を始めようとするが…
「お前なんて知らないから」
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
キスから始まる主従契約
毒島らいおん
BL
異世界に召喚された挙げ句に、間違いだったと言われて見捨てられた葵。そんな葵を助けてくれたのは、美貌の公爵ローレルだった。
ローレルの優しげな雰囲気に葵は惹かれる。しかも向こうからキスをしてきて葵は有頂天になるが、それは魔法で主従契約を結ぶためだった。
しかも週に1回キスをしないと死んでしまう、とんでもないもので――。
◯
それでもなんとか彼に好かれようとがんばる葵と、実は腹黒いうえに秘密を抱えているローレルが、過去やら危機やらを乗り越えて、最後には最高の伴侶なるお話。
(全48話・毎日12時に更新)
俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした
たっこ
BL
【加筆修正済】
7話完結の短編です。
中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。
二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。
「優、迎えに来たぞ」
でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。
うまく笑えない君へと捧ぐ
西友
BL
本編+おまけ話、完結です。
ありがとうございました!
中学二年の夏、彰太(しょうた)は恋愛を諦めた。でも、一人でも恋は出来るから。そんな想いを秘めたまま、彰太は一翔(かずと)に片想いをする。やがて、ハグから始まった二人の恋愛は、三年で幕を閉じることになる。
一翔の左手の薬指には、微かに光る指輪がある。綺麗な奥さんと、一歳になる娘がいるという一翔。あの三年間は、幻だった。一翔はそんな風に思っているかもしれない。
──でも。おれにとっては、確かに現実だったよ。
もう二度と交差することのない想いを秘め、彰太は遠い場所で笑う一翔に背を向けた。
キミの次に愛してる
Motoki
BL
社会人×高校生。
たった1人の家族である姉の由美を亡くした浩次は、姉の結婚相手、裕文と同居を続けている。
裕文の世話になり続ける事に遠慮する浩次は、大学受験を諦めて就職しようとするが……。
姉への愛と義兄への想いに悩む、ちょっぴり切ないほのぼのBL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる