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22, パパ上と余
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玉座に座って困り果てた顔をしたパパ上に、とにかくしつこく言い募る。
「もー!!だから婚約破棄させてってば!余はミレイナと結婚するんだから!!」
タンタンと足踏みをして意志の強さを示した。
「ルティ、そんなに怒らないでおくれ。今お前が好きなチュロを用意するから、それでもおあがり。」
パンパンと手を打つパパ上。
「お菓子でごまかされないから!今日こそ破棄を認めてよね!!」
「ルティ、なんども説明しただろう?この結婚はお前しか出来ない、とても大事な役目なんだよ。」
「うるさい!そんなにフローレ公国のお金が欲しいならパパ上があいつと結婚すればよかったんじゃん!!」
「パパだって、ルティのためならそうしたかったよ。けどパパは現役の国王だから、フローレ公国の勢力拡大を心配したリタリナ半島の他の諸都市国家から理解が得られなかったんだって何度も説明しただろう?」
そんな事はコーツからも聞いて分かってる。
だから嫁いできたのも大公の正妃との子じゃなくて、母親が誰かもわからない庶子のエリザリケなんだって。
「だからなに!?何で余がそんなこと気にしなきゃいけないの!!!」
「ルティ、国のためなんだよ。先代と先先代は戦をしすぎた。そのツケはその子孫の我々が払うしかないんだ。今の利息を払うのに精一杯の財政では、国を豊かにする投資もできない。」
「何で国が豊かになるために余が我慢しなきゃいけないの!」
「ルティ、お前が身につけているスカーフの刺繍糸一本だって、お前が自分で紡いだものじゃないだろう?」
「っ……だから何なのって!余には関係ない!」
ぐぬぬ……意地悪ばっかり言って。
「ルティ、お前はリシィが残してくれた宝物だよ。けどお前のお母さんはこの国の民もみな自分の子供だと言っていた。」
ずるいぞ。母様を持ちだすのは。
「お前もリシィのように民を弟妹だと思って愛して欲しい。結婚してくれればあとは浮気でも何でもしていいから!」
パパ上は両手を組んでぎゅっとお願いのポーズをしてくる。
「はぁ!?あいつがそんなわけっ……」
反論しようとして口をつぐむ。ちょっとシュンツにキスしようとしたぐらいで抱き潰されたのにやつが浮気なんて許すはずがないだろ!
というか浮気がしたいわけじゃないし!!
そもそも結婚しない!
「っ……余は諦めないぞ!パパ上また明日も来るから!」
お土産に蜂蜜のかかったチュロを持たされ、パパ上の部屋を後にした。
貰ったチュロを齧りながら来た廊下を早々に後戻りする。
今日はすぐに言い負かされちゃった。
いつもはシュンツやコーツがこっそり援護してくれるからもう少し粘れるのに。
ずっと黙ったままだったシュンツを振り返る。
「シュンツ、どこか具合悪いのか?」
「いえ、ルチアーノ殿下、それより早くグリハルドの屋敷に参りましょう?本当に大事なお話なのよ。」
腕をギュッと掴まれ、顔を覗き込まれる。
別に今は誰も見てないからミレイナ嬢の振りはしなくていいのに。
「じゃあコーツを……。」
「そんな時間もありませんわ。さ、参りましょう。」
腕を握る力が強くなった。
様子が少し変なのが気になるけど、よほど急ぎなのかな。
シュンツに急かされるまま、厩舎係に馬を2頭手配させてすぐに出発した。
「もー!!だから婚約破棄させてってば!余はミレイナと結婚するんだから!!」
タンタンと足踏みをして意志の強さを示した。
「ルティ、そんなに怒らないでおくれ。今お前が好きなチュロを用意するから、それでもおあがり。」
パンパンと手を打つパパ上。
「お菓子でごまかされないから!今日こそ破棄を認めてよね!!」
「ルティ、なんども説明しただろう?この結婚はお前しか出来ない、とても大事な役目なんだよ。」
「うるさい!そんなにフローレ公国のお金が欲しいならパパ上があいつと結婚すればよかったんじゃん!!」
「パパだって、ルティのためならそうしたかったよ。けどパパは現役の国王だから、フローレ公国の勢力拡大を心配したリタリナ半島の他の諸都市国家から理解が得られなかったんだって何度も説明しただろう?」
そんな事はコーツからも聞いて分かってる。
だから嫁いできたのも大公の正妃との子じゃなくて、母親が誰かもわからない庶子のエリザリケなんだって。
「だからなに!?何で余がそんなこと気にしなきゃいけないの!!!」
「ルティ、国のためなんだよ。先代と先先代は戦をしすぎた。そのツケはその子孫の我々が払うしかないんだ。今の利息を払うのに精一杯の財政では、国を豊かにする投資もできない。」
「何で国が豊かになるために余が我慢しなきゃいけないの!」
「ルティ、お前が身につけているスカーフの刺繍糸一本だって、お前が自分で紡いだものじゃないだろう?」
「っ……だから何なのって!余には関係ない!」
ぐぬぬ……意地悪ばっかり言って。
「ルティ、お前はリシィが残してくれた宝物だよ。けどお前のお母さんはこの国の民もみな自分の子供だと言っていた。」
ずるいぞ。母様を持ちだすのは。
「お前もリシィのように民を弟妹だと思って愛して欲しい。結婚してくれればあとは浮気でも何でもしていいから!」
パパ上は両手を組んでぎゅっとお願いのポーズをしてくる。
「はぁ!?あいつがそんなわけっ……」
反論しようとして口をつぐむ。ちょっとシュンツにキスしようとしたぐらいで抱き潰されたのにやつが浮気なんて許すはずがないだろ!
というか浮気がしたいわけじゃないし!!
そもそも結婚しない!
「っ……余は諦めないぞ!パパ上また明日も来るから!」
お土産に蜂蜜のかかったチュロを持たされ、パパ上の部屋を後にした。
貰ったチュロを齧りながら来た廊下を早々に後戻りする。
今日はすぐに言い負かされちゃった。
いつもはシュンツやコーツがこっそり援護してくれるからもう少し粘れるのに。
ずっと黙ったままだったシュンツを振り返る。
「シュンツ、どこか具合悪いのか?」
「いえ、ルチアーノ殿下、それより早くグリハルドの屋敷に参りましょう?本当に大事なお話なのよ。」
腕をギュッと掴まれ、顔を覗き込まれる。
別に今は誰も見てないからミレイナ嬢の振りはしなくていいのに。
「じゃあコーツを……。」
「そんな時間もありませんわ。さ、参りましょう。」
腕を握る力が強くなった。
様子が少し変なのが気になるけど、よほど急ぎなのかな。
シュンツに急かされるまま、厩舎係に馬を2頭手配させてすぐに出発した。
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