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15, またきた
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夜、そろそろ暖炉の火を消して寝るかとメイドを呼ぶベルを手にした時、なんか普通にエリザリケが部屋に入ってきた。
「だっ、誰か!誰か来い!」
慌ててベルをヂンヂン鳴らす。
「うるさいなぁ。鳴らしても誰も来ないけど。」
奴の言った通り、何故かいつもはすぐ来るはずのメイドが全然来ない。
「何だよ!勝手に入ってくるな。あっちいけ!」
奴が近寄ってくるので距離を取るように後ずさる。
それでも近づいて来て、室内を走って逃げたけどあっという間に腕を掴まれてしまった。
拍子で落としたベルが高い音を立てて床に転がる。
未だにメイドは来ない。
こいつが何か手を回したんだろうか。
「離せよ!触るな!」
手を振りほどこうとしても力の差があって出来ない。
そのまま腕を引かれて歩かされ、ベッドに押し倒された。
仰向けになった所で、後ろ向きで腰に馬乗りになってくる
「わっ!……何するんだよふざけんな!!」
「我慢しような。今日はお仕置きだから。」
はぁ?
体勢を立て直して暴れる前に、素早い手つきで右手と右足首をひとまとめに持たれた。
カシャンカシャンと金属音がして、手首と足首にひやりとしたものが当たる。
見れば、短い鎖の両端に付いた手枷と足枷が余の手足に取り付けられていた。
精一杯暴れたけど左の手と足も同様に掴まれ、同じ枷でこっちも繋がれてしまう。
あっという間にそれぞれの手足が縛られた身動きできない状況になった。
「なっ、何だよこれ!外せよっ!」
拘束をし終わって自由に動けなくなった余を確認し、奴は乗っかっていた余の腰から退いた。
転がされてる余の傍に座りなおして頬をさらりと撫でてくる。
「俺の目の前で他のやつとキスしようとしたな?」
「余が誰とキスしようが余の勝手だ!」
「だめ。許さない。」
エリザリケがベルトに下げた短刀を引き抜く。
「!?や、やだ……何なんだよ。やだっ。」
今刺されたら何の抵抗も出来ない。
嫌だ。怖い。
奴は余の着ている寝着にナイフを当ててピリピリ裂いていく。
すっかり布が体から取り払われ裸にされる頃には怖くて涙が出てきた。
「ルティ、よく頑張ったな。」
奴の指先が優しい手つきで俺の目尻をぬぐってくる。
「っ、じゃあこの枷外せよ。何するんだよいきなり……。」
「それは駄目だ。これはお仕置きだから。まだまだ頑張ろうな?」
そういうと奴は余の背後に回ってきて、後ろから上体を引っ張り上げるとやつの体に寄りかかる体勢にされた。
背後から抱きかかえられる格好で、前に回された両手が余の胸を撫でる。
こっちは両手が使えないからされるがままになるしかない。
手はゆるい動きで肌の上を滑っていく。
手のひら全体で撫でる時もあれば、指の腹だけで擦るように動く時もある。
胸ばかりを執拗に撫でたかと思うと、脇腹や二の腕も同じ調子で撫でられ擽ったさに体が跳ねる。
体が動くと、枷が手首や足首に当たって痛かった。
「これ外せってば!痛いっ!」
それに、自由を奪われていいようにされるなんてまっぴらだ。余のプライドが許さない。
「外したら暴れるだろ?」
「暴れないから!」
「本当?」
「ああ。」
まあ嘘だけど。
外れたら大暴れしてやる。
「それって、俺に大人しく抱かれるってこと?」
奴がなおも訪ねてくる。
「チッ……」
余は乱暴に首を縦に振った。
耐えろ我輩。少しの辛抱だ。
「ちゃんと言えって。ほら、どうする?」
奴が人の腹を勝手に撫でる。
撫でられる度にぞわぞわ嫌な気持ちが湧いてきた。
「…………貴様に、だ、かれる、から、枷を外せ。」
「拘束なしで普通に抱いて欲しいんだ?」
もうこいつ殺したい。
何で余がこいつに抱かれたいってことになってるんだ!
悔しい。けど今の命を握られている状況では耐えるしかない。
「……普通に、抱いて欲しい。」
これは作戦だ。本心じゃない。
油断させて逃げるための方便だ。
「だっ、誰か!誰か来い!」
慌ててベルをヂンヂン鳴らす。
「うるさいなぁ。鳴らしても誰も来ないけど。」
奴の言った通り、何故かいつもはすぐ来るはずのメイドが全然来ない。
「何だよ!勝手に入ってくるな。あっちいけ!」
奴が近寄ってくるので距離を取るように後ずさる。
それでも近づいて来て、室内を走って逃げたけどあっという間に腕を掴まれてしまった。
拍子で落としたベルが高い音を立てて床に転がる。
未だにメイドは来ない。
こいつが何か手を回したんだろうか。
「離せよ!触るな!」
手を振りほどこうとしても力の差があって出来ない。
そのまま腕を引かれて歩かされ、ベッドに押し倒された。
仰向けになった所で、後ろ向きで腰に馬乗りになってくる
「わっ!……何するんだよふざけんな!!」
「我慢しような。今日はお仕置きだから。」
はぁ?
体勢を立て直して暴れる前に、素早い手つきで右手と右足首をひとまとめに持たれた。
カシャンカシャンと金属音がして、手首と足首にひやりとしたものが当たる。
見れば、短い鎖の両端に付いた手枷と足枷が余の手足に取り付けられていた。
精一杯暴れたけど左の手と足も同様に掴まれ、同じ枷でこっちも繋がれてしまう。
あっという間にそれぞれの手足が縛られた身動きできない状況になった。
「なっ、何だよこれ!外せよっ!」
拘束をし終わって自由に動けなくなった余を確認し、奴は乗っかっていた余の腰から退いた。
転がされてる余の傍に座りなおして頬をさらりと撫でてくる。
「俺の目の前で他のやつとキスしようとしたな?」
「余が誰とキスしようが余の勝手だ!」
「だめ。許さない。」
エリザリケがベルトに下げた短刀を引き抜く。
「!?や、やだ……何なんだよ。やだっ。」
今刺されたら何の抵抗も出来ない。
嫌だ。怖い。
奴は余の着ている寝着にナイフを当ててピリピリ裂いていく。
すっかり布が体から取り払われ裸にされる頃には怖くて涙が出てきた。
「ルティ、よく頑張ったな。」
奴の指先が優しい手つきで俺の目尻をぬぐってくる。
「っ、じゃあこの枷外せよ。何するんだよいきなり……。」
「それは駄目だ。これはお仕置きだから。まだまだ頑張ろうな?」
そういうと奴は余の背後に回ってきて、後ろから上体を引っ張り上げるとやつの体に寄りかかる体勢にされた。
背後から抱きかかえられる格好で、前に回された両手が余の胸を撫でる。
こっちは両手が使えないからされるがままになるしかない。
手はゆるい動きで肌の上を滑っていく。
手のひら全体で撫でる時もあれば、指の腹だけで擦るように動く時もある。
胸ばかりを執拗に撫でたかと思うと、脇腹や二の腕も同じ調子で撫でられ擽ったさに体が跳ねる。
体が動くと、枷が手首や足首に当たって痛かった。
「これ外せってば!痛いっ!」
それに、自由を奪われていいようにされるなんてまっぴらだ。余のプライドが許さない。
「外したら暴れるだろ?」
「暴れないから!」
「本当?」
「ああ。」
まあ嘘だけど。
外れたら大暴れしてやる。
「それって、俺に大人しく抱かれるってこと?」
奴がなおも訪ねてくる。
「チッ……」
余は乱暴に首を縦に振った。
耐えろ我輩。少しの辛抱だ。
「ちゃんと言えって。ほら、どうする?」
奴が人の腹を勝手に撫でる。
撫でられる度にぞわぞわ嫌な気持ちが湧いてきた。
「…………貴様に、だ、かれる、から、枷を外せ。」
「拘束なしで普通に抱いて欲しいんだ?」
もうこいつ殺したい。
何で余がこいつに抱かれたいってことになってるんだ!
悔しい。けど今の命を握られている状況では耐えるしかない。
「……普通に、抱いて欲しい。」
これは作戦だ。本心じゃない。
油断させて逃げるための方便だ。
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