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10,(エロ)
しおりを挟む目の前に大嫌いな婚約者の顔があった。
こんな酷い仕打ちをしてくる奴と思えないくらい、顔が少し赤らんでいてとろけるようなうっとりした目をしている。
目を合わせたくなくてまともに顔を見てなかったけど、ずっとこんな目で余を見ていたんだろうか。
そう思うと心臓がずくっと締め付けられる感じがした。
多分絶対気のせいに違いないけど。
もう呼吸もちゃんとしてるのに、奴は相変わらず人の顎を掴まえてこちらを覗き込んでいる。
「なあ、キスしていいか?」
掠れた声にどきっとした。
「っ……良いわけ、ないだろ」
ぷいっと顔を背ける。
どうせ嫌がっても勝手にするくせに。
聞く意味あるか?
「そっか。じゃあいいや。」
「はっ?……あ゛あっ!!っ……んはぁ……」
奴は今度はあっさり諦め、その代わりにまた腰を人の尻に打ち付け始めた。
何だしないのか。いや別にこれっぽっちもしたかったわけじゃないけど。なんだ。ちんこ突っ込めばもういいのか。いや、余の被害が少ないに越したことはないけど……。
ずずっ、ぐぷんっ
「んあぁっ……!」
再開した動きにゴリゴリ奥を抉られて、頭がまたすぐに真っ白に塗りつぶされて胸のもやもやも散っていく。
「っ、ルチアーノ……ルティ……」
うわ言のように人の名前をつぶやいて腰を振りたくる婚約者。
自分の絶頂を目指す容赦ない動きに、こちらも翻弄されて高みに登っていく。
「っ……ルティっ。」
「あっ、ん゛ああぁっ!」
中のものがひときわ膨らんだ後、ビュクビュクと先端から奴の欲望が吹き出すのを感じた。
丁度たまたま、余も限界が近くて一緒に果てる。
決して耳元で艶のある声で名前を呼ばれたからじゃない。
はぁはぁという呼吸音だけが部屋に響いている。
奴が覆いかぶさってきてうっとおしいけど、散々好き放題されてこっちも疲れているから跳ね除ける気力もない。
「ルチアーノ、気持ちよかったか?」
無理やり襲っておいてふざけたことを抜かしやがる。
顔を覗き込んで頭を撫でてくるな。
「無理やりされて気持ちいいわけあるかばか。」
撫でてくる手をパシッと振り払う。
「そう?俺は気持ちよかった。ありがとう。」
払った手を掴まれ、指先にチュッとキスをされた。
だから!余が受け入れてたみたいな雰囲気出してくるな!!
断じて余は認めてないからな。
なのに勝手に人の名前連呼しながらイきやがって。
なんでこいつにルティなんて……ルティって、そういえば前も呼ばれてたような。
「……リシィ?」
「ん?」
「っ……何でもない!あーもう貴様もう気は済んだろ。帰れよ。余は貴様に汚された体を清めにいくんだから。」
「じゃあ俺が水とふきん持ってくる。まってな。」
「ちょっ……んぅっ……」
ずるっとまだ中に入れっぱなしだったものを抜いて身支度を軽く整えると、奴は部屋を出て行った。
あいつなんであんな躊躇いなく知らない館を出歩けんだろ。
まあいっか。衛兵に見つかるか迷子になってくれたら清々する。
ごろんと寝返りを打つと、尻からたらりと吐き出されたものが流れる感触がした。
気持ち悪いので適当にシーツで拭う。
どうせ散々余の吐いたのでドロドロだから今更だ。
このシーツで朝まで居なきゃいけないのが腹立たしい。
くそっ、全部エリザリケの所為だ。
エリザ……そうだよな。あいつもリシィだ。
リシィは、死んだ母さまの特別なあだ名だった。
母さまの名前はエリザベタだったけど、母さまの故郷であるゴルマン帝国ではリシィがエリザベタの略称だったらしい。
この国に嫁いだ後は、リシィはパパ上だけが使う母さまのあだ名になった。
余もいつか愛する人を特別なあだ名で呼びたいと幼心に思ったものだ。
でも何か……昔に誰かをそう呼んでたような……。
考えているうちに思ったより早く奴が帰ってきた。
桶に入ったぬるま湯と洗面器、柔らかい布と替えのシーツ。
完璧な調達品に、こいつは屋敷のメイドか?と疑いたくなる。
それを置いて出て行けと言っても出て行かず、結局奴に尻の中のものを掻き出されるという屈辱を受けた。
腹が立ったけど、シーツを変えるのまで全部やらせてやったので良しとする。
というかプライドがないのか嬉しそうに勝手にしてた。バカじゃないのか?
その後はもう寝たいのにずっと背中にへばり付かれて酷い安眠妨害を受けた。
10
↓めちゃくちゃ世話になっている
B L ♂ U N I O N
B L ♂ U N I O N
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