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何だって?あのじいちゃんがルドルフ?

「でも、今のルドルフはじいちゃんじゃないですよ?」

「お前と会った後、すぐにこの姿になった。力も昔の半分くらいまで戻ってたんだ。払うべき代償を払ったってことだったんだろう。僕はやっと人間になった。」

「何で俺がじいちゃんを探してるの知ってて教えてくれなかったんですか?」

「お前が会いたい会いたいってうるさくて癪に触ったから。」

「なっ、ひど……」

「怒るなよ自分に嫉妬してたんだ。」

「は、はぁ?ら、ラオシは何がしたかったんでしょう?」

「ラオシって先生のことか?先生は僕たちの監督係だ。僕たちは大抵のことは自分で出来る力がある。ただどうしても自分ではどうにもできない時、先生に頼む。先生は代償と引き換えに望みを叶えてくれる。」

「じゃあ、今日の事は誰かの望みを叶えるためだったんですか?」

「どうもマキアスのためだったようだな。魔界に引きこもって仕事ばっかりしてる生真面目なやつなんだが。」

「そのマキアスって人、背が高くて銀髪で怖い顔してます?」

「背が高くて銀髪はそうだな。顔は……怖いといえば怖いか。整いすぎてて。」

多分、サティが魔王と呼んでたのがマキアスなんだろう。

「でも、ラオシ酷かったんだ。。」

俺はルドルフにラオシと魔物を召喚した顛末を話した。
流れで俺が人類を滅ぼそうとしてたことも話す事になったけどもう構わなかった。

「何も二人をあんな目に遭わせなくたって……」

「何が代償かは先生すら知らない。それでもいいと受け入れた者だけ先生に頼むんだ。」

じゃあルドルフも、それでもいいと思ったんだ。そんな危ない橋渡るくらい人間になりたかったんだ。
それくらい女の人が好きだったんだ。
今も好きなのかな。その人の事。

また胸がジクジク痛みだす。

「トマ、よかったな。サティが生きてて。」

「あ、うん。」

「もう、復讐はやめるか?」

「……うん。」

聞かれて、自分でも意外なくらいすんなり頷けた。

「サティがされたことがなくなるわけじゃないけど、サティが生きてるなら、俺がそんなことしたら嫌がると思うから。」

「そうか。これからどうする?」

どうって、そっか。復讐やめるなら騎士見習いやる理由もないんだ。ルドルフと一緒にいる理由も。

「……わかんない、デス。」

「なら、決めるまではここに居るといい。」

は?何それ。
分かったら出てけってこと?散々人を弄んでおいて?
そもそも他に好きな人いる癖に俺に色々思わせぶりな態度とって酷くない!?

「ルドルフ!」

「何?」

「俺とお仕置きじゃないエッチして下さい!!」

「はい?」

俺は自分が座っていた1人掛けソファーから立ち上がり、ポカンとしているルドルフを彼が座っていた長ソファーに押し倒して上に馬乗りになった。

「なに?どゆこと?」

珍しくキョトンとしている。ソファーに無造作に散ったあざやかな朱色に、少し興奮している自分がいた。

「散々人を弄んだんだから責任とって下さい!1000年前のババアなんて俺が忘れさせてやる!!」

俺が意気込んで言うと、ルドルフはさらに目を丸くした。

「……あはは。弄ばれてる自覚あったんだ。」

奴の腹に乗った太腿をつつっと膝から上になで上げられ、尻たぶをむにっと揉まれる。それだけでゾクゾク頭が痺れる感覚がした。
認めなくないけど、ルドルフに触れられるだけで体が喜んじゃってる。

「っ……そうだよ。なのに今更放り出すなんて。」

「放り出す気なんて全く無いけど。ほら、お仕置きじゃ無いんだから自分で脱がなきゃ。」

ルドルフが熱を帯びた瞳でじっと見つめてくる。
言われるがまま上衣の裾に手を掛けた。

「ピイ!ピイ!ピイ!」

部屋で遊ばせていたヒヨコの鳴き声がする。
今は構っていられない。
ぎゅっと目を瞑って一気に服を脱ぎ捨てた。

これ、思ったより恥ずかしいぞ。今まではずっとルドルフからされてたから、自分で抱かれに行くのがこんなに恥ずかしいなんて。

ルドルフの反応が気になって閉じていた目をそっと開ける。

けどやつはそっぽを向いてそちらに視線を送っていた。

「は!?ちょっと!俺のストリップちゃんと見ろよな!!」

胸ぐらを掴んで抗議する俺に、気まずそうに自分が見ていた方向をちょいちょい指差す。

なんなんだ一体!

ふんっ!と勢いよく示された方向に目を向ける。
そこには、薄く布みたいに広がって宙に浮いてるヒヨコと、その広がった表面に映し出された少年の姿があった。

少年は前が見えないように手で顔を覆っていたけど、すぐにそれがサティだって分かった。
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