傲慢エルフと変態キメラ Vo1

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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◇マヤ

教会12

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泊まれる宿が見つからなかった時に世話になるのは大抵大きな教団系列の教会だ。
孤児院を運営している所では夜は大抵夢にうなされた子供の鳴き声が聞こえる。
あれは何度聞いても慣れる事は無いだろう。
さらに、子供ってものは怪我や病気もする物だ。
育ち盛りなら洋服も靴も瞬く間にサイズが変わるし教育関係の物だって繰り返し使うには限度が有る。
育てると言う事はただ食い物だけ与えていれば良いというワケでは無いのだ。
外から見た事情だけでも何をどの方向から考えたって、教団に金が有って余計と言う事は無いだろうというのは容易に想像出来た。
「・・・あなた、良い意味で嫌な人ですね。」
宣教師が頬を染めて憎たらしそうに言った。
「あぁ?意味わからねぇな!」
ガルフは粗雑に悪者ぶった顔で答えた。
「真面目な話、やはりチケット一枚位買いませんか?何なら私がお相手しますよ?セイレーンですから、目くるめく官能の中に引きずり込んであげますよ?♡」
何を思ったのか、改めて自分ごと売り込んで来る宣教師にガルフは毛虫でも見た時みたいな顔でしっし手を振って遠ざける。
「だから、お前は俺の好みじゃねぇって言ってんだろ。俺の好みは線の細い美人系だ、美丈夫じゃねぇ」
言いつつも再びメニューはしっかり受け取って物色する。
ガルフとてヴィオモラで豪遊のつもりがここ一週間マヤ探しに奔走してて全く遊んでいないのだ色々溜まっている。
肝心のマヤは居ないし、振られたのならマヤに拘るのも可笑しい気がした。
ここらでちょっと息抜きしたい。
舞台ではいつの間にか劇が始まっていて、物語も佳境に入っていた。
何やらストーリーではどこぞの城の姫だか王子だかがさらわれたらしい。
役者のセリフを耳でいちおう聞きながらガルフはメニューに目を通す。
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