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すべては幻、隣の庭は枯れ木の庭 1ー11

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異常者達は、もっと厳密に言うのであれば、人心を掌握するというよりも操作する事に執着していると言った方が的確かも知れない。
ジェイコブ王子がジョアンの自分に対する執着を煽る為に、ルークを当て馬にして、自らの外交的評価が下がる事も顧みず、一国一城の中でジョアンを辱しめた様に。
みずからも暴力を振るわれながらも、父親を操作して実の子供達に暴力を振るわせていたルークの母親の様に。
それらは時に、自分の幸せを犠牲にしてでも他人を操作する事に執着していた。
庭に迷い混んだ子猫を「可愛そうだね」と言ってそっと救い上げ、次の瞬間自分の飼っている犬に食わせる。そういう者達。
ルークにとってはどうあっても気持ちの悪い異常者達だが、世の中にはジョアンの様にそんな人物を依存先として選ぶ者も少なく無い。
ルークにしてみれば自分に被害が及ばないのであれば、当人同士が幸せならそれで良いと思っている。
街で話したジェイコブ王子の口ぶりだと、ジョアンもルークとそ大差ない出生なのだろう。で、あれば、ジョアンの今の生活は、夢にも思わなかった程の僥倖の筈だ。
ルークには邪魔する気にはなれなかった。
ジョアンはジェイコブ王子に抱きしめられ、縋りつき、趣味の悪い生物系性玩具に翻弄されながらも場所もわきまえず腰を振って泣きながら善がっている。あれだけの事をされても、ジョアンには嬉しい事なのだ。
その様子を見て、大きく溜息を着いたシャルレ姫は、ジェイコブ王子の満足そうな様子を確認してから
「なにやら落ち着くところに落ち着いた様子、これ以上は茶番劇につき合う義理も無いでしょう。ルーク行くわよ」
今度こそシャルレが湯殿の方へと向かった。
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