真夜中の太陽 ルークの初恋

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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ルークの初恋 3-27

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「あの、その民族衣装ですけど、そんな、使用人が一回着ちゃったもの要らないでしょう?おまけに僕が着て裾を引き摺らなかったって事は姫には小さすぎるサイズでしょうし、何せ最初大判の日よけのストールだと思った位ですから。捨てるか売るか、誰かにあげるかするんで、返して頂いても良いでしょうか?」
「はぁ?誰に上げるですってぇ?!」
「あ、ダメですか、わかりました。じゃぁ売るか捨てるかします」
「お前、ちゃんと分かってるの?」
「?えっと、ソレを誰かにあげるのがダメなんですよね?」
ルークがそう言うと、シャルレは物凄く複雑な表情をして、
「ルーク、お前、コレはお前が私にプレゼントする為に手に入れてくれたのでしょう?ならもうコレは私の物よ」
民族衣装を抱え込んでしまった。
「・・・・ひょっとして、気に入ったんですか?」
「お前がストールと見間違える位の単純構造よ、少し直せば本当にストールになるわよ」
拗ねた様な口調で言って、さらにきつく抱え直した。
ルークは、姫の様子が嬉しくて、偶然手に入れたも同然の物だけれど、自分がシャルレを思って用意した物を、姫本人が気に入ってくれたのがただ嬉しくて、頬を薄紅に染めて、
「きっと良くお似合いですよ」
笑顔でそういうのがやっとだった。
シャルレは斜に構えた角度でそんなルークを見ながら、方眉をピクリと上げてあとは車窓の外に視線を送ってしまった。
「・・・疲れたわ、走り回って土埃だらけ、帰ったら直ぐ湯に浸かりたい、背中流して」
そっぽを向いたままのシャルレ姫が言った。
「承知しました。部屋に着いたら直ぐ仕度いたします。」
ルークは先ほどシャルレ姫が背もたれを暴発させたところに座って馬車が城に着くのを待った。
馬車に揺られてうつらうつらする姫の横顔はとても綺麗で、ルークは城に着くまで飽きることなく見つめていた。
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