39 / 116
ルークの初恋 3-11
しおりを挟む
さぁさぁ!さぁさぁ!さぁさぁさぁさぁ!道行く御方々、一つ、少々お耳を拝借奉りさうらう!
私、名をブガヤと申します。卑しい身の上ゆえ氏はございません。
しがない流浪の身でございますれば このみすぼらしき異国の弦楽器を相棒に
あはれな根無し草、その日暮らし・・・。
そこな評判の屋台の甘露なる飲み物さえ本日は買えぬ始末、
この身をあはれと思し召し、どうか数曲の演奏と引き換えに
私めに今宵食べるものをお恵みお願い申し上げます。
・・・大金貨をポケットに入れて、いけしゃぁしゃぁと青年は言った。
大金貨の釣りが無いからと言って青年に飲み物を売る事が出来なかった店の主人が、一瞬生ぬるい目で青年を見つめたが何も言わなかった。
商売とはそういう物だ。
折り畳み式の弦楽器の音色は、お世辞にも良い音とは言えないはすっぱな音だが、青年の腕前がそれを凌駕した。
前に置かれた楽器ケースの中はみるみる小銭でいっぱいになった。
青年は満面の笑みでケースの蓋を閉じると、大仰にお辞儀をして、
「あぁ、有難い。これで今夜食事と酒が飲み食い出来る。橋の下の使用料もこれで賄えるでしょう・・・ありがとうございます。有難うございます」
と、もう一度、まるで舞台挨拶の様にお辞儀をしてみせた。
ルークは開いた口も塞がらない思いでその様子を見つめていた。
青年は佇まいを直すと、すっと纏う空気を変えた。
賑やかに拍手喝采を送っていた見物人が自然と静まり返る。もうここは青年の為の舞台と化していた。
「それでは、お礼変わりにラストに一曲」
私、名をブガヤと申します。卑しい身の上ゆえ氏はございません。
しがない流浪の身でございますれば このみすぼらしき異国の弦楽器を相棒に
あはれな根無し草、その日暮らし・・・。
そこな評判の屋台の甘露なる飲み物さえ本日は買えぬ始末、
この身をあはれと思し召し、どうか数曲の演奏と引き換えに
私めに今宵食べるものをお恵みお願い申し上げます。
・・・大金貨をポケットに入れて、いけしゃぁしゃぁと青年は言った。
大金貨の釣りが無いからと言って青年に飲み物を売る事が出来なかった店の主人が、一瞬生ぬるい目で青年を見つめたが何も言わなかった。
商売とはそういう物だ。
折り畳み式の弦楽器の音色は、お世辞にも良い音とは言えないはすっぱな音だが、青年の腕前がそれを凌駕した。
前に置かれた楽器ケースの中はみるみる小銭でいっぱいになった。
青年は満面の笑みでケースの蓋を閉じると、大仰にお辞儀をして、
「あぁ、有難い。これで今夜食事と酒が飲み食い出来る。橋の下の使用料もこれで賄えるでしょう・・・ありがとうございます。有難うございます」
と、もう一度、まるで舞台挨拶の様にお辞儀をしてみせた。
ルークは開いた口も塞がらない思いでその様子を見つめていた。
青年は佇まいを直すと、すっと纏う空気を変えた。
賑やかに拍手喝采を送っていた見物人が自然と静まり返る。もうここは青年の為の舞台と化していた。
「それでは、お礼変わりにラストに一曲」
0
お気に入りに追加
27
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
潜入した僕、専属メイドとしてラブラブセックスしまくる話
ずー子
BL
敵陣にスパイ潜入した美少年がそのままボスに気に入られて女装でラブラブセックスしまくる話です。冒頭とエピローグだけ載せました。
悪のイケオジ×スパイ美少年。魔王×勇者がお好きな方は多分好きだと思います。女装シーン書くのとっても楽しかったです。可愛い男の娘、最強。
本編気になる方はPixivのページをチェックしてみてくださいませ!
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21381209
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる