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蜜月(巣籠もり)
◆◆◆8
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両親と幸せに暮らしていた頃、同い年の子に淡い恋心を抱く様な事もあった。
その時は片思いで終わったけれど、自分もいつか両親の後を継いで薬屋の主になって、今はまだ見ぬ愛する人と一緒になって、家族を作って暮らして行くんだと思っていた。
しかし、そんなシェルの将来への淡い期待は、国王による両親の処刑とゴメスの奴隷調教によって全て壊された。
ゴメスの調教が終わった時、シェルは、年相応の恋愛という物に嫌悪感を抱く様になってしまっていた。
男にせよ、女にせよ、性的な関係は想像するだけで吐き気がした。
性交をすると想像しただけで、架空の相手でも全部姿は豚とサルの死体に変わった。
そして、あの感覚が勝手に蘇ってシェルを覆った。今でも容易に思い出せる、死んだ動物の冷たい体に猛った自分の性器を突き刺す感触、ゴメスのけたたましい笑い声、板で体を打たれる痛み。
トホスマ・スダに来てからも、何度も夢に見てうなされた。
自分はもう、誰かと恋愛関係を築く事なんて出来ないと思っていた。
シェルが性奴隷だったという事は、谷中に広まっている。
もしかしたら国中に広まっているのかも。
いくらトホスマ・スダが小さな国だと言っても、いくらこの谷の人口が少ないと言っても、人間は他にも沢山いる。
わざわざシェルを選んで、本気で愛を語る人間なんて現れるとは思えなかった。
(僕、ずっと愛されていたのか)
今更気が付いた。
いや、ようやく事態を飲み込めた。
いたでは無いか、いたのか、いたのだ、ずっと側に、これ以上無いくらい真剣に口説いてくれていた男が。
自分はずっと愛され、口説かれていたのだ。
ロモソルーンから、彼が生まれてからずっと。
その時は片思いで終わったけれど、自分もいつか両親の後を継いで薬屋の主になって、今はまだ見ぬ愛する人と一緒になって、家族を作って暮らして行くんだと思っていた。
しかし、そんなシェルの将来への淡い期待は、国王による両親の処刑とゴメスの奴隷調教によって全て壊された。
ゴメスの調教が終わった時、シェルは、年相応の恋愛という物に嫌悪感を抱く様になってしまっていた。
男にせよ、女にせよ、性的な関係は想像するだけで吐き気がした。
性交をすると想像しただけで、架空の相手でも全部姿は豚とサルの死体に変わった。
そして、あの感覚が勝手に蘇ってシェルを覆った。今でも容易に思い出せる、死んだ動物の冷たい体に猛った自分の性器を突き刺す感触、ゴメスのけたたましい笑い声、板で体を打たれる痛み。
トホスマ・スダに来てからも、何度も夢に見てうなされた。
自分はもう、誰かと恋愛関係を築く事なんて出来ないと思っていた。
シェルが性奴隷だったという事は、谷中に広まっている。
もしかしたら国中に広まっているのかも。
いくらトホスマ・スダが小さな国だと言っても、いくらこの谷の人口が少ないと言っても、人間は他にも沢山いる。
わざわざシェルを選んで、本気で愛を語る人間なんて現れるとは思えなかった。
(僕、ずっと愛されていたのか)
今更気が付いた。
いや、ようやく事態を飲み込めた。
いたでは無いか、いたのか、いたのだ、ずっと側に、これ以上無いくらい真剣に口説いてくれていた男が。
自分はずっと愛され、口説かれていたのだ。
ロモソルーンから、彼が生まれてからずっと。
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