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蜜月(巣籠もり)

◆◆27

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ロモソルーンに愛されながら、ロモソルーンの熱につき刺されながら、揺れる視界でロモソルーンに言われた事を頭の中で繰り返した。
(僕が最初に願った事)
最初っていつだろうか?
そもそも、シェルは両親を殺されたあの冷たい雨の夜から、何かを願うなんてことあまりしてこなかった。
ロモソルーンの卵に魔力を注いだ時だって、別に何か望みがあってしたわけじゃなかった。
見返りが貰えるなんて、露ほども思わなかった。
ただ与えただけだ。
その卵が、何を必用としているのか、何故かシェルには分かってしまったから。そして、シェルはソレを持っていたから、もう、消えるのを待つしかない命の灯火を、自分よりも確実に生き残れそうな目の前の存在に、渡した。
ただそれだけだった。
(僕、何か願ったっけ?)
両親殺されたあの夜から、シェルが願ったのはただ一つ。
ロモソルーン愛する男と一緒に生きたい)
そうだ、シェルは、だから番になると決めたんだ。
(一緒に生きる)
一緒に生きる、そう、それならば、ならば、生きるならば、

シェルがそう思った途端。シェルの気道は一気に広がり、大きく息を吸い込んだ。
空気と一緒に周囲の魔力の粒が大量にシェルの気道の中に入って行く。
ロモソルーンがニヤリと勝利の笑みを浮かべた。
「そうだ!来い、シェル。俺の所まで上がって来い!」
そう言って、シェルの丹田に自分の魔力をダメ押しとばかりに押し込んだ。
シェルの肺が大きく膨らんで背中が反って、口がパカリと開いたかと思うと、今度は大量の息を吐き出した。
吐き出す吐息の中には、魔力の粒は一粒も無かった。
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