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蜜月(巣籠もり)

◆◆19

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ロモソルーンの、疑いようの無い真っ直ぐな誠実さに舞い上がってしまって、ロモソルーンも初めてだという事を考えもしなかった。
「怠慢だね。ごめん。ロモソルーンがこんなに一生懸命考えてくれているのに。僕、夢中で、気にもしてなかった」
「謝る事じゃない、無理も無いだろ。
 嫌じゃ無いなら良い。そうか、そうだな、初めてなのか」
シェルの謝罪を、ロモソルーンは快く受け止めて、おおらかに受け流した。
ロモソルーンは、その漆黒の体とは裏腹に、千年も卵の中に閉じ込められていたとは思えない程明るい性格をしている。
(まるでお日様だ)
あの地獄の暗い調教部屋で、ひたすら空を恋しがっていた自分が、彼を愛してしまったのは当然の結果だと、シェルは今更ながらにしみじみと感じた。
「ロモソルーン」
「ん?」
「気持ちいい」
「そ、そうか」
「今までで、一番気持ちいい。その、奴隷の時に催淫剤で薬漬けにされていた時の何百倍も、今日が一番気持ちい。ロモソルーンに抱かれるのが一番気持ちい」
ロモソルーンの動きが緩慢になって、シェルの体に余裕ができたのか、シェルは澱みなく言葉を紡げた。
「お願い、ロモソルーン。続きして。ロモソルーンの性器を僕の体に突き刺して、君の、君の熱で僕を満たして。お願い」
「シェル」
シェルの赤裸々な睦言に、流石のロモソルーンが照れて慌てた。
しかしシェルは構わず言葉を続けた。
ロモソルーンが本格的に自分を抱き始めたら、また言葉も紡げなくなって、自分の気持ちがロモソルーンに伝えられなくなる。
今の内に伝えておかないと。
「僕を抱いて。僕と交尾して?」
ルァルァ、と、シェルが鳴いた。それがその日、シェルがまともに言葉を紡げた最後になった。
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