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蜜月(巣籠もり)

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竜舎に帰った後も、ロモソルーンはシェルを自分の腕の中から離そうとはしなかった。
お気に入りのシーツを手放さない幼児みたいに抱きかかえ、シェルの足を床に付けさせるのさえ嫌がる執着ぶりだった。
「ロモソルーン、もう、家の中なんだから」
と、シェルが促しても、頑としてシェルを放さなかった。
「シェル、巣ごもりはもう始まっているんだ。発情期のドラゴンの雄なんて、皆こんなもんなんだから、気にするな」
ロモソルーンに天気の話をするみたいにサラリと言われて、シェルはロモソルーンの腕の中から脱出するのを諦めた。
「そういえばロモソルーン、食事はどうしたら良いの?」
「いつもと同じ物を用意してくれ、量もな。あと、久しぶりにシェルと同じ物も食べたい。口が小さくなったからシェルと同じ量でも味が分かる」
ロモソルーンくらいの大きさに成長してしまうと、鍋いっぱい位ないと味が分からないらしい。
「分かった」
夕食は、ロモソルーンの膝に座って夕食をとり、後片付けはロモソルーンに抱きかかえられながら魔術で片付けた。
食器二人分位、手で洗ったってかかる手間も時間も魔術と変わらないのに。
シェルを抱きかかえながら、ロモソルーンはしきりにシェルの体に自分の腰を押し付けてきた。
シェルの服では入る物が無くて、せめて腰にシーツの布を巻かせようとしたのだけれど、ロモソルーンは布を取ってしまった。
漆黒の肌に、肩や背中にある鱗やしっぽの影響で何だかそんな深刻な状態には見えないが、つまりロモソルーンは現在一糸まとわぬ姿なのである。
「洋服、作らないとね」
もう、ロモソルーンのその行動が何を意味するのかよく知っているシェルは、頬をバラ色に染めながら言った。
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