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暗闇の灯火
◆◆◆◆28
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シェルは、その漆黒の男の手を握りしめながら抱きしめられていた。
「シェル、歌は今日はもう良い」
見た目に良く似合う、心地の良い低い声だった。
暗がりで見たので、肌が漆黒であるというだけの、普通(というにはあまりにも美丈夫であるが)の人間に見えたその男は、ちょっとよく見ると、明らかに人間にしては様子が変だった。
先ず後側頭に太く後方に波打つ漆黒の角がある。両目の斜め上辺りがキラキラと光を反射して、鱗が有る事が分かった。
よく見ると二の腕の外側も漆黒の鱗で覆われていた。
シェルは、見知らぬ男に抱きしめられていると言うのに少しも嫌だとは思わなかった。
そう言えばこの男、どう見ても男に見えるのだが、裸だと言うのに有るべき所に男の象徴が見当たらなかった。
まるでどこかに仕舞っているみたいに。
多分、乳首もない。
そして、何よりも目を引くのは、シェルがとても良く見慣れている優しい金色の目をしている事だった。
「ロモソルーン?」
恐る恐る、男を見つめながらロモソルーンの名を呼ぶと、男は快活にニカリと笑って。
「おう!ただいま!」
そう言った。
シェルが見慣れている、いつもの笑顔だった。
シェルはその笑顔を見て、金色の目に宿る優しい光を見て、やっと目の前の男がロモソルーンなのだと実感出来た。
シェルはロモソルーンの手を握りしめたまま、ヘナヘナとその場に崩れ落ちてしまった。
「シェル?」
慌ててロモソルーンがシェルを抱きとめた。
「ほ、ほっとしたら立ってられなくなっちゃって。どこにも力が入らない」
「うはははは!」
震える声で言うシェルを、ロモソルーンがあっけらかんと笑い飛ばした。
そして、まだ足腰の動きが覚束ないシェルを、ヒョイと軽々抱き上げた。
「シェル、歌は今日はもう良い」
見た目に良く似合う、心地の良い低い声だった。
暗がりで見たので、肌が漆黒であるというだけの、普通(というにはあまりにも美丈夫であるが)の人間に見えたその男は、ちょっとよく見ると、明らかに人間にしては様子が変だった。
先ず後側頭に太く後方に波打つ漆黒の角がある。両目の斜め上辺りがキラキラと光を反射して、鱗が有る事が分かった。
よく見ると二の腕の外側も漆黒の鱗で覆われていた。
シェルは、見知らぬ男に抱きしめられていると言うのに少しも嫌だとは思わなかった。
そう言えばこの男、どう見ても男に見えるのだが、裸だと言うのに有るべき所に男の象徴が見当たらなかった。
まるでどこかに仕舞っているみたいに。
多分、乳首もない。
そして、何よりも目を引くのは、シェルがとても良く見慣れている優しい金色の目をしている事だった。
「ロモソルーン?」
恐る恐る、男を見つめながらロモソルーンの名を呼ぶと、男は快活にニカリと笑って。
「おう!ただいま!」
そう言った。
シェルが見慣れている、いつもの笑顔だった。
シェルはその笑顔を見て、金色の目に宿る優しい光を見て、やっと目の前の男がロモソルーンなのだと実感出来た。
シェルはロモソルーンの手を握りしめたまま、ヘナヘナとその場に崩れ落ちてしまった。
「シェル?」
慌ててロモソルーンがシェルを抱きとめた。
「ほ、ほっとしたら立ってられなくなっちゃって。どこにも力が入らない」
「うはははは!」
震える声で言うシェルを、ロモソルーンがあっけらかんと笑い飛ばした。
そして、まだ足腰の動きが覚束ないシェルを、ヒョイと軽々抱き上げた。
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