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暗闇の灯火

◆◆◆◆25

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ボロボロ泣きながらまじない歌を歌うシェルの姿を、ロモソルーンの金色の目玉が、じっと見つめた。
(ロモソルーン)
シェルは、その目が目玉だけなのに、その眼差しがちゃんとロモソルーンだと分かった。
自分の涙が止まらない事を思い出して、心配させまいと無理に笑おうとして、変な顔になってしまった。
ロモソルーンの目玉は、少しの間シェルを見つめた後、いつもシェルを見つめている時と全く変わらない優しい光を宿して、微笑むようにニコリと笑みの形をとった。
(ロモソルーン!)
大丈夫、ロモソルーンの魔法は絶対上手くいく!
シェルは、もう一度、自分に無理矢理言い聞かせた。
シェルはいっそう魔力を込めて歌を歌った。
周囲の魔力の粒が一気に増加して、ぶつかりあっては弾けた。
弾けた魔力はそのまま魔方陣に降り注いだ。
すると、一部の魔方陣が一列に並んで、目にも止まらない速さで回転し始めた。
何が始まったのだろうかと、シェルが驚き、内心少し怯えながら見つめていると、ロモソルーンの塊の一部が激しくうねりだした。
そのうねり出した一部は、そのまま、並ぶ魔方陣を貫く様に細長く伸びたかと思うと、なんと真っ黒な、そう、ロモソルーンの鱗の様に真っ黒な、漆黒の人間の手の様な物が出来上がった。
シャァアアンと言う美しい音と共に、その、人間の手の様な物が貫いていた一列に並んでいた魔法陣が弾けて咲いて消えた。
(人間みたいな、手・・・)
その手は、シェルの方に向かって伸ばされる様に出来上がった。
トホスマ・スダの男にしても、少々大きめな作りに見えた。
右肩から先が出来上がっていた。
ロモソルーンの金色の目玉がその腕を見つめると、腕は手を握ったり開いたり、腕を曲げたり、肩から動かしたりして、何やら確認した後、再びシェルの方へ伸ばされた。
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