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暗闇の灯火

◆◆◆◆21

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人間の見物人達から悲鳴が上がった。
二人の会話が聞こえて、理解できているドラゴン達は、面白がっている様子だった。
それを見たグエンの表情が一瞬恐怖に染まり、二、三歩後ろに下がった。
シェルは、グエンを一睨みすると、そのままきびすを返してロモソルーンの素へ向かった。
未だ地に伏せているファーファナルがまたドラゴン語で言った。
『シェル、アッシュレアを止めてくれて、有難う。一つ、お礼に良い事を教えてあげるよ』
ファーファナルの言葉にシェルは立ち止まって振り返った。
『グエンは、確かに人間達の間では、力の有るファミリーの一員らしいが、彼に求心力は無い。実力は確かにあるが、グエンの戦い方は仲間の戦力の足を引っ張る。
 結果、隊全体の戦力が落ちるから竜騎士達でグエンを尊敬しているのなんて、新人竜騎士位の物だ。
それに、グエンを好きなドラゴンなんて、この谷で一匹だっていない。
中でもロモソルーンはグエン嫌いの筆頭だ』
今まで、ロモソルーンはグエンの事を気に入っていると思っていたシェルは、ファーファナルの言葉に多いに驚いた。
『だから、グエンは君がロモソルーンの番になった事すら知らないと思う。
 グエンが事あるごとに君にちょっかいを出しているのは、実は結構知れ渡っている事だしね。
 グエンが谷の戦神の大事な番に横恋慕して、人生失敗したらいい気味、なんて思っている人間はきっと沢山いる』
ファーファナルはそれだけ言うと、目をつぶって気絶したふりに入ってしまった。
多分、ロモソルーンの魔法が終わるまでその場で潰れているつもりなのだろう。
シェルは一回ファーファナルにお辞儀をすると、ロモソルーンの元にまた向かった。
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