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暗闇の灯火

◆◆◆◆17

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シェルの後ろで、ガラスが割れる音に似た、大きな音がした。
驚いて振り返ると、ロモソルーンの魔法陣が三分の一近く壊れた。
弾ける時とは明らかに違う、何か良くない音に聞こえた。
(ロモソルーン?)
シェルがロモソルーンを見ると、ロモソルーンは滅多に見せない憤怒の形相でグエンを睨みつけていた。それこそ、積年の怨みを込めて視線で射殺そうとでもしているみたいに見えた。
(あれ?)
シェルは戸惑った。
グエンは、ロモソルーンがよく組んでいる竜騎士のはず。つまり、気が合う戦闘仲間という事のなのだとシェルは思っていた。
いくら魔術の妨害をされたからと言って、ロモソルーンがあんな形相で隊の仲間のである人間を、睨む物だろうか。
ロモソルーンの頭上の魔法陣が又、二、三個バリンッという音と共に壊れた。
(このままでは、ロモソルーンの魔法が)
シェルは焦って、グエンに構わず歌を歌いだした。

暗い暗い闇の果て
絶望の淵 欠乏の記憶
光は来ない 照らせ照らせ

その時、ふと、先ほどのロモソルーンの言葉を思いだした。
『番には番を守る権利がある』
(僕には、ロモソルーンを守る権利が有る)

星は己の腕の中

グエンは、まだこちらを見て両手を広げている。
「可愛そうに、こんなに素晴らしい才能が有るのに」
(僕に与えられた。僕の権利)
グエンは何かわめいているが、シェルは歌う事と、今自分の中に浮かんだ一粒の光の様な物を追いかけるのに一生懸命であまり聞こえていなかった。
「いくらドラゴンと言ったって、君を何年も囲いものにして独占するなんて、何て酷いんだ!」
グエンはいっそう声を張り上げて言った。
それは流石にシェルの耳に届き、
(・・・は?)
シェルの思考を止めた。
    
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