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暗闇の灯火
◆◆◆◆14
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ロモソルーンが地響きがする程の轟音で雄叫びを上げた。
魔法陣が何個か、シャンッと美しい音を立てて弾けて、又新しい魔法陣が生まれた。
周囲に巻き起こっている強風は、今や周囲の木をなぎ倒さんばかりに吹き荒れていた。
シェルと、ロモソルーンの周囲だけが、凪いでいた。
悲しい悲しい冬の果て
絶望の淵 欠乏の心
理はない
照らせ 照らせ
真実は二人の腕の中
全ては最初から貴方の中
シェルは、言葉の一つ一つに、丁寧に魔力を込めて歌った。
知らなかった、この歌が魔法陣の代わりだったなんて、そんな物が世の中には有るのか。
考えてみれば、ドラゴン達は魔法を使う時、厳密に言えば魔法陣を描いていない。
魔法を使用するには魔法陣は必須だ、だから人間は大概指や杖で魔法陣を描く、そして同時に必要に応じて調整の詠唱を唱える。
しかし、ドラゴンは鳴き声一つで魔法陣を出現させている。つまり、この歌はドラゴンが魔法を発動させる時に使う鳴き声と同じ効力が有るという事なのだろう。
歌は一回で良いのか、繰り返さなければならないのか。
ロモソルーンの目を見ると、『歌え』と言われている気がした。
シェルは無言でうなづいて、もう一度歌おうと唇を開いた時、
「素晴らしい!素晴らしいよシェル!」
横から今一番聞きたくない声がした。グエンだった。
何と、現れたのは、まさかのグエンだった。
(─どこまでもっ!)
嫌な男だ。この男は、多分シェルが嫌がっているのを本当は分かっている。グエンは恐らくそれが許せないのだ。
シェルごときが、谷の名家であるグエンを避ける事が許せないのだ。
だから、最も嫌がるであろうタイミングでわざわざ声をかけて来たのだろう。
魔法陣が何個か、シャンッと美しい音を立てて弾けて、又新しい魔法陣が生まれた。
周囲に巻き起こっている強風は、今や周囲の木をなぎ倒さんばかりに吹き荒れていた。
シェルと、ロモソルーンの周囲だけが、凪いでいた。
悲しい悲しい冬の果て
絶望の淵 欠乏の心
理はない
照らせ 照らせ
真実は二人の腕の中
全ては最初から貴方の中
シェルは、言葉の一つ一つに、丁寧に魔力を込めて歌った。
知らなかった、この歌が魔法陣の代わりだったなんて、そんな物が世の中には有るのか。
考えてみれば、ドラゴン達は魔法を使う時、厳密に言えば魔法陣を描いていない。
魔法を使用するには魔法陣は必須だ、だから人間は大概指や杖で魔法陣を描く、そして同時に必要に応じて調整の詠唱を唱える。
しかし、ドラゴンは鳴き声一つで魔法陣を出現させている。つまり、この歌はドラゴンが魔法を発動させる時に使う鳴き声と同じ効力が有るという事なのだろう。
歌は一回で良いのか、繰り返さなければならないのか。
ロモソルーンの目を見ると、『歌え』と言われている気がした。
シェルは無言でうなづいて、もう一度歌おうと唇を開いた時、
「素晴らしい!素晴らしいよシェル!」
横から今一番聞きたくない声がした。グエンだった。
何と、現れたのは、まさかのグエンだった。
(─どこまでもっ!)
嫌な男だ。この男は、多分シェルが嫌がっているのを本当は分かっている。グエンは恐らくそれが許せないのだ。
シェルごときが、谷の名家であるグエンを避ける事が許せないのだ。
だから、最も嫌がるであろうタイミングでわざわざ声をかけて来たのだろう。
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