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暗闇の灯火

◆◆◆◆12

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ロモソルーンの角の周囲に、キラキラと金色の魔力が集まり出した。
「シェル、巣篭すごもりをしよう。シェルの千年を作るために、ロモソルーン一世一代の大魔法を始めようじゃないか」
ツノの横の魔力の粒が一つ、パンっと弾けて星が一瞬煌めいた。
魔力の粒は瞬く間に二人の周りを覆い、セックスをしている時みたいにゆっくりと二人の周りを回転し始めた。
セックスの時とは違うのは、今の魔力の粒はシェルには吸収されないという所だ。
ロモソルーンが不規則に鱗を鳴らしだすと、周囲の魔力の粒はブワリッと、いっそう増えた。
「先ずは俺だ、これは人目が有る時にやった方が良い、一々説明してまわる手間が省ける」
ロモソルーンは、楽しい悪戯を思い付いた時みたいな表情でそう言うと、大きく息を吸い込んで全身に力を込めた。
「シェル、最中にウォルター辺りが邪魔に来るかも知れねぇが、遠慮は要らねぇ。サンダーでも何でも使って吹っ飛ばせ。お前は俺の番だ、番には番を守る権利が有る。相手がドラゴンだって遠慮はいらねぇ」
シェルは、ロモソルーンの口ぶりから、これから何が起きるのかおおよそ想像出来た。ロモソルーンは、自分の体を変えるつもりなのだ。人間みたいな体になろうとしているに違いない。
成功する可能性とか、不安は沢山ある、でも、
「え?あ、うん?うん。わ、わかった」
あえて聞いている余裕は無い、あたふたと焦りながら返事だけして、魔法陣をいくつかあらかじめ展開した。
雷と、土の魔法陣。雷は攻撃に特化しているし、土は守りに特化している魔法だし、土系の魔法は、物理的打撃の攻撃としても使える。一人でドラゴンの相手をするなら最良の選択だった。
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