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暗闇の灯火
◆◆◆12
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シェルの胸に、不安が積もっていった。
「ロモソルーン?」
「うん・・・、ごめんな、こんな時に。
でもな、俺も、今じゃないと、今、渡さないと、後になったらきっと、渡せなくなると思うんだ」
まるで、別れを切り出す直前の様なロモソルーンの態度に、シェルの方が逃げ出したい衝動に刈られてきた。
ロモソルーンは一体何をしようとしているのだろうか?と、シェルは、目を凝らしてロモソルーンを見つめたけれど、シェルには何一つ、ロモソルーンの表情から、今の彼の心の内なんて、読み取る事は出来なかった。
『怒っても良いから、嫌いにならないでほしい』さっき、ロモソルーンが放ったその言葉だけが、シェルにロモソルーンは二人の終わりを告げる訳では無いんだと、思わせてくれた。
「渡したい物って、何?」
シェルは、不安に押し潰されそうになりながら、ロモソルーンに問いかけた。
ロモソルーンは、真剣な眼差して、微笑んで、
「今渡す」
と言って、一回、ずぶ濡れの犬が水気を払う時の様に、頭の天辺から尻尾の先まで体を震わせた。
シャララキラキラと、薄い金属の板がぶつかり合った時に出るような高く美しい音が墓地に響き渡り、ロモソルーンが、一声、美しい音色で鳴いた。
とたん、帰りかけていたドラゴン達が一斉に振り返り、何とも興味深そうな表情をしながら、その殆どが、態々また戻ってきた。
ロモソルーンはドラゴン語でなにやら言葉を紡ぎ始めた。
シェルの耳はドラゴンの言葉が理解できる筈なのに、誰かを送り出す時に言う別れの言葉を時折聞き取れたくらいで、よく分からなかった。
ただ、その言葉の端々に、シェルは魔力を感じ取った。
「・・・詠唱」
ロモソルーンの周りに、幾つもの魔方陣が展開された。
「ロモソルーン?」
「うん・・・、ごめんな、こんな時に。
でもな、俺も、今じゃないと、今、渡さないと、後になったらきっと、渡せなくなると思うんだ」
まるで、別れを切り出す直前の様なロモソルーンの態度に、シェルの方が逃げ出したい衝動に刈られてきた。
ロモソルーンは一体何をしようとしているのだろうか?と、シェルは、目を凝らしてロモソルーンを見つめたけれど、シェルには何一つ、ロモソルーンの表情から、今の彼の心の内なんて、読み取る事は出来なかった。
『怒っても良いから、嫌いにならないでほしい』さっき、ロモソルーンが放ったその言葉だけが、シェルにロモソルーンは二人の終わりを告げる訳では無いんだと、思わせてくれた。
「渡したい物って、何?」
シェルは、不安に押し潰されそうになりながら、ロモソルーンに問いかけた。
ロモソルーンは、真剣な眼差して、微笑んで、
「今渡す」
と言って、一回、ずぶ濡れの犬が水気を払う時の様に、頭の天辺から尻尾の先まで体を震わせた。
シャララキラキラと、薄い金属の板がぶつかり合った時に出るような高く美しい音が墓地に響き渡り、ロモソルーンが、一声、美しい音色で鳴いた。
とたん、帰りかけていたドラゴン達が一斉に振り返り、何とも興味深そうな表情をしながら、その殆どが、態々また戻ってきた。
ロモソルーンはドラゴン語でなにやら言葉を紡ぎ始めた。
シェルの耳はドラゴンの言葉が理解できる筈なのに、誰かを送り出す時に言う別れの言葉を時折聞き取れたくらいで、よく分からなかった。
ただ、その言葉の端々に、シェルは魔力を感じ取った。
「・・・詠唱」
ロモソルーンの周りに、幾つもの魔方陣が展開された。
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