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暗闇の灯火

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葬儀は午前中から執り行われた。
何せ7名もの死体を埋めなければならないのだ、谷としては久しぶりの一大行事になってしまった。
ミレニアを陥れて殺されたベノン達六人の死体は、罪人扱いで個別の墓も用意されず、まとめて穴に放り込まれて焼かれて埋められる事になった。
ベノン達三人は町でも悪評高く、誰も花を手向ける者は居ないだろうと思われていたが、何と娼館の女や男達がめいめい結構豪華な花を持って手向けに来た。
竜騎士の男達は娼館をよく利用する物だから、そう、珍しい事ではないが、ベノン達は娼館から出入り禁止を言い渡されていた。娼婦達が参列するのは、少し奇妙な事態だった。
献花に訪れた娼婦や娼夫は、みんな、三人に、特にベノンに手酷い扱いを受けた者達だった。
商売道具の体に消えない傷痕を残された者も居た。
花束は、全て捨てるか叩きつけるかのようにして献花された。
誰も何も言わなかった。
皆、心の何処かで理解していた。
この、魔物の森に囲まれたトホスマ・スダで、質の悪い竜騎士に何かされても、死を覚悟しなければ仕返しなんて出来ない。
ベノン達のような質の悪い男達と言う物は、自分達の痛みに関しては異常に執念深く根に持つ物だ。
下手にプライドを傷つけたりしたら、後でどんな仕返しをされるのか知れた物ではない。ミレニアの様になりたくなければ、耐えるか、祭りの時に来た他国の商人に付いていき去るしか、体を売って暮らす人間達には生きる道は無い。
もし仕返しを出来るとしたら、その竜騎士が死んだ後ぐらいなのだ。
恐らく、精一杯豪華な喪服で着飾って来たであろう娼婦(夫)達は、花束を墓穴の中に捨てると、後の参列もせず足早に帰っていった。
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