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アッシュレアの敵討ち

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「どれ、俺が見よう。探す所が違うのかも知れねぇぞ」
「・・・っ・・ロモソルーン様。あっ!」
ロモソルーンは、アッシュレアに有無も言わさずに、ゴブリンの死骸を一口に口の中に入れてしまった。
口の中でゴロゴロ死骸を転がして、やがて小さな骨を吐き出した。
「あった。ほら、多分、指の骨だな」
それは確かに、コレだと言われて見れば、信じてしまう形の小さな真っ白い骨だった。
ゴブリンの骨は濃いクリーム色をしているから、少なくともゴブリンの骨ではない事は確かだった。
「本当に?」
あんまりアッサリと出てきた物だから。あんなに必死に探していた癖に、アッシュレアは思わずロモソルーンに確かめた。
「おぉ、確かだ。コイツ、嫌にミレニアの匂いがしたから、何かあると思ったんだ、胃に入ったら消化されちまう筈だから、その前に喉か歯の隙間にでも引っ掛かっていたんだろう。すまねぇな、もっと有るかと思ったがそれで全部だ。腕輪がゴブリンの腸まで残っていたのは、金と魔石はゴブリンの胃酸でも溶けない物だからだ」
それだけ言うと、ロモソルーンは、さっさと口の中のゴブリンの残りの死骸をを噛み砕いて飲み込むと、腹の中の熱で溶かしてしまったのだろう、牙の間から煙りを勢い良く吐き出した。
アッシュレアは、手のひらの中に転がされた小さな骨を少し見つめた後、大事そうに握り込んだ。 
「有り難う」
ひぃっっと小さくしゃくり上げ
「ありがとぅ」
それだけ言うと、一回、地面に伏せる程深く頭を下げると、地面に転がしていた鉈を掴みあげ、ミレニアの骨を大事そうに持って立ち上がった。
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