闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆◆◆◆◆２５

砂を投げつけられた竜騎士達は、谷でも有名な先陣を任される騎士達ばかりだった。
何故か誰一人として避けもせず、ただ黙ってその砂を身に受けて、うつ向いていた。
「人を散々笑い者にしておいて、竜騎士様よ、最強の戦士よとうそぶいて、いばりちらしておいて、あんたらのアイドル、ミレニア一人守れないなんて！
しかもそれが隊でも最弱の新人竜騎士に出し抜かれた？
挙げ句ミレニアの仇をとってくれたのは、手足を無くしてアンタラに散々馬鹿にされていたタヨタじゃない！
アンタラ今回一体何の役に立ったの！？
ただドラゴン様達の後をヨチヨチついて歩いてゴブリンを二、三匹殺しただけ！
まるで子供のお使いじゃない！
恥を知れ！」
アッシュレア怒鳴りちらすだけ怒鳴りちらすと、けたたましく笑った。
笑いながら泣いていた。
もう、完全に、狂った様にしか見えなくなっていた。
「アッシュレア・・・」
ルメラが憐れみを込めてアッシュレアの名前を呟いた。
アッシュレアはひとしきり笑うと、足元に有ったゴブリンの足を蹴飛ばして、ルメラを見た。
「・・・私の両親が死んだのは、私が7才の頃でした」
そしておもむろに話し始めた。
ルメラはやはり訳が分からず、ただあまりに痛ましいアッシュレアの様子が気の毒で、ぎこちないながらも微笑んで小さくうなずいた。
「両親を亡くした年端も行かない女の子の末路がどんなに悲惨か知ってます？」
アッシュレアはやはり何も分かっていないルメラの清らかさを笑いながら話を続けた。
　「私は、最初、従姉妹いとこの家に引き取られ、里子になりました。
　名乗りを上げてくれたんです。
両親が生きている時から、その従姉妹とはなかが良かった」