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アッシュレアの敵討ち
◆◆◆◆◆◆◆◆20
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ルメラの手が自分の背中に触れても、アッシュレアはゴブリンを切り刻む手を止める事は無かった。
振り下ろした鉈がゴブリンの骨と骨の間にめり込み、ゴブリンが悲鳴を上げて体を揺すった。
「アッシュレア!」
ルメラが語気を荒げてアッシュレアの名を呼んだ。
アッシュレアは、一瞬だけルメラをチラリと見つめると、ボソリと言った。
「充分て、何?」
とても、暗い声だった。
あまりに物騒な声だった事もあって、ルメラは思わず声を上げた。
「え?」
アッシュレアは、手を休めず、ルメラを見る事もせず、ただ言葉を繰り返した。
「充分て、何?」
そう言いながらまた鉈を振り下ろす。
「ミレニアは死んだの、あんな、あんなボロボロにされて、死んだの。
こんな、汚い、汚らわしい魔獣に食われながら犯されて腹を破かれて。
ルメラ先生、見たでしょう、ミレニアの腰、腰骨なんかどこに有るのか分からない位グニャグニャだった。
こんなヤツラの為にっ!
もう戻って来ないの、食われた手足ですら戻って来ないのよ」
アッシュレアがまた、一振、鉈を振り下ろした。
どこか太い血管を切ったのか、鉈の切り口から勢いよく血が吹き出して二人に掛かった。
「・・・大した用事じゃなかったの。その日の内に済ませたかっただけで。
私が行けば良かった、朝市位。私が行けば良かったのよ。あの子が一番絡まれてたの朝市だったのに。
明るいから大丈夫な気がしちゃって、私が行けば、せめて、一緒に行けば。
ねぇ、何が充分なんですか?先生
そんなの何処にもない、何処にもないんですよ!」
そう言って、思い切り振りかぶって、アッシュレアはまた、鉈をゴブリンの腹に突き刺した。
その瞬間、キィン、と、場違いな美しい金属音がゴブリンの腹から聞こえてきた。
振り下ろした鉈がゴブリンの骨と骨の間にめり込み、ゴブリンが悲鳴を上げて体を揺すった。
「アッシュレア!」
ルメラが語気を荒げてアッシュレアの名を呼んだ。
アッシュレアは、一瞬だけルメラをチラリと見つめると、ボソリと言った。
「充分て、何?」
とても、暗い声だった。
あまりに物騒な声だった事もあって、ルメラは思わず声を上げた。
「え?」
アッシュレアは、手を休めず、ルメラを見る事もせず、ただ言葉を繰り返した。
「充分て、何?」
そう言いながらまた鉈を振り下ろす。
「ミレニアは死んだの、あんな、あんなボロボロにされて、死んだの。
こんな、汚い、汚らわしい魔獣に食われながら犯されて腹を破かれて。
ルメラ先生、見たでしょう、ミレニアの腰、腰骨なんかどこに有るのか分からない位グニャグニャだった。
こんなヤツラの為にっ!
もう戻って来ないの、食われた手足ですら戻って来ないのよ」
アッシュレアがまた、一振、鉈を振り下ろした。
どこか太い血管を切ったのか、鉈の切り口から勢いよく血が吹き出して二人に掛かった。
「・・・大した用事じゃなかったの。その日の内に済ませたかっただけで。
私が行けば良かった、朝市位。私が行けば良かったのよ。あの子が一番絡まれてたの朝市だったのに。
明るいから大丈夫な気がしちゃって、私が行けば、せめて、一緒に行けば。
ねぇ、何が充分なんですか?先生
そんなの何処にもない、何処にもないんですよ!」
そう言って、思い切り振りかぶって、アッシュレアはまた、鉈をゴブリンの腹に突き刺した。
その瞬間、キィン、と、場違いな美しい金属音がゴブリンの腹から聞こえてきた。
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