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アッシュレアの敵討ち

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呆れた顔で視線を送ってきたベルマを、ロモソルーンが無表情に見返した。
「きっと、俺達は知っておいた方が良いと思うんだ。
 一体、人間の雌が自分の子供を殺されたら、どれだけ怒るのか。
 俺はな、人間もドラゴンも自分の子供に対する愛情の深さはさして変わらないと思ってるんだ。
 ただ、人間の方が、社会性を重んじるがゆえにあまり仕返しや復讐をしないだけで、特に人間の雌は極端に戦闘能力が無いから泣き寝入りをしているだけで、子を思う心はドラゴンの雌とさして代わりがないと思っている。
 弱いから涙を飲むしか無かった者が、復讐する力を手に入れた時、どれだけの怒りを爆発させるのか。
 本当は、どれだけの怒りを抱えているのか。
 俺達は知った方が良い」
竜騎士隊が広場に降り立ち始めた。アッシュレアを囲みように円陣を組んで。
いくばくかのドラゴンは、自分達の住み処に帰っていったが、行きの宣言通り、殆どのドラゴン達がその場に留まった。
中には、行く前に不参加を表明していたドラゴンも、ひとり、ふたり、残った。
ドラゴン達の間に立ち、竜騎士達も各々様々な表情で並んだ。
好奇心に満ちた表情の者、黙って剣の柄に手を置く者は、恐らくアッシュレアが失敗したら守るつもりなのだろう。腕を組んでただ待つ者も多かった。
ベルマが円の最前に陣取り、最後にロモソルーンがアッシュレアの前に降り立った。
愛想の無い声で、アッシュレアがロモソルーンに言った。
「お帰りなさい」
今までのアッシュレアからは一度も聞いた事の無い、随分とドスの聞いた声だった。
ロモソルーンが咥えているゴブリンを、ぶらり、と揺らした。
ゴブリンが耳障りな金切り声を上げて逃れようと暴れた。

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