闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆◆◆◆１２

ロモソルーンの尻尾が、シェルの手のひらの中で少し動いた。
シェルがロモソルーンを見上げると、悪夢にうなされてシェルが飛び起きた時によく見る、ロモソルーンの心配そうな眼差しと視線が合った。
シェルは、『大丈夫だよ』っと微笑んで、本当は逃げ出したいけれど、無理矢理微笑んで、またアッシュレアに向き合い直した。
「旅団は、国一番の奴隷商、ゴメスの旅団で、注文の入った奴隷達を他国へ売りに行く途中だった。
　ゴブリンはトホスマ・スダ付近では珍しい大きな群れで、物凄い数の群れで一気に襲ってきたんだ。
百匹はいたかな、旅団は護衛に傭兵まで雇っていたのに、あっという間に壊滅したよ」
真っ暗な森の中、地響きと共に数えきれない位の緑色の手が闇から生えてきた。
ゴブリン達は見境無く手近な所から取り憑き、次々引き倒しては襲っていった。
いくら強い傭兵と言えども、鎧を着た手足に各三匹づつもしがみつかれてはどうにもならない、たちまち手足を半分も食い荒らし、暴れられなくなると数匹残って他は次の獲物を襲いに行く。
残った数匹は、耳障りな鳴き声を上げながら、繁殖活動、つまり獲物を強姦しはじめたのだ。
叫ぶ口を、髪の毛を、後ろから鷲掴みにされて、無理矢理ゴブリンの性器をねじ込まれ、服を引き裂かれ、食われながら凌辱されて、ゴブリンの子供を産まされていた。
「皆、ゴブリンに捕まって、あっという間に凌辱されて、泣き叫びながら死んでいったよ。
　奴隷も兵士も男も女も年よりも子供も、馬や羊でさえ。
　皆ゴブリン達に集団で無理矢理強姦されて苗床にされた。
　命がつきる前に大体の人間は気が違っていった」
皆、シェルの目の前で殺されていった。