闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆◆◆◆９

アッシュレアは、自分はずっと、孤独な人生を歩んでゆくのだろうと思っていた。
ミレニアは、そんな孤独に生きて来たアッシュレアが、思いもよらず手に入れた大切な家族だった。
「何が足手まといよ。いい人ぶって！」
ミレニアは美しい娘だったから、ひそかに思いを寄せている男たちがいたのをアッシュレアは知っている。
「『我慢できない程度の不細工な行き遅れのみじめな女』！。あんたらが酒場で言ってる私の悪口が、私に届いていないとでも思ってるの！？えぇ知ってるわ、言葉にはしていないわよね！でも笑いのネタにしてたでしょ『あぁ。孤独で可愛そうなアッシュレア！一言寂しいと言ってくれれば、いつでも一夜の相手くらいな・ら・してやるものをｗぎゃはははは』！」
あと数年もすれば、きっと素敵な恋人が出来て、素敵な結婚式を挙げて、嫁いでいくものだと思っていた。
ミレニアに子供が生まれたら、孫みたいに思って可愛がってあげよう。
使ってもらえるかどうか分からないけれど、母の形見を手直しして、ひそかに花嫁衣裳も用意していたのだ。
それなのに、
「あの子は、ミレニアは私を助けようとして死んだのよ！自分の命も顧みず」
持っていた大剣を地に突き刺してアッシュレアは叫んだ。
「私がっ！。私が仇を打ってあげなくてどうするって言うのよおぉ！」
血を吐くような思いでアッシュレアは怒鳴り散らした。
流石の隊長たちも気おされて、言葉を失くしてしまった。
もはや誰にもアッシュレアを説得できない様に思えた時、人垣をかき分けてアッシュレアの傍に来た人物がいた。
「アッシュレア、アッシュレア待って」
─シェルだった。