闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

アッシュレアの敵討ち

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次の日の二人の、いや、ゴブリン討伐部隊の面々の朝は早かった。
ゴブリンは基本的に昼夜行性だからだ。
叩くならば、日が昇ってからの午前中が最も成功率が高い。
何せゴブリンの討伐は、殲滅でなければならない。例え雛でも逃がしてはならない。
ゴブリンは生まれて数時間で大人になる。一匹でも逃がしたら、あっという間に増えて新しいコロニーを作ってしまう。逃げ延びた時の記憶と一緒に。
包囲して、しんがりが突入っしていくのが最も使われている戦い方だ。
周囲と全ての出入り口にドラゴンや騎士を配備して、短時間で徹底的に叩く、その為には、朝日が昇る前から集まる必要がある。
二人が集合場所の広場に行くと、もう半数以上が集まってきていた。
「お早うございます」
シェルが挨拶すると、ドラゴン達がそれぞれ挨拶を返してくれた。
ドラゴン騎士の面々も、半数以上が会釈や言葉で挨拶をしてくれた。
残りの少数は、シェルを見て無視したり、ニヤニヤと意味ありげに見下した笑みを浮かべるだけだった。
あからさまに股間を前後にゆする者までいた。
性奴隷だったシェルの出自を、バカにしているのだ。
同じ国の出身でも無い癖に。
おまけに、今やシェルがロモソルーンの番になった事は、国中に知れ渡っている、昨夜二人が何をしたかなんて分かりきっている事だ。
ドラゴン騎士になった強さを誇る男達にしてみれば、格好の嘲笑の種なのだろう。
「おぅ。今日はよろしく」
ロモソルーンがシェルの頭の上で言った。
とたんに騎士達が姿勢を正して挨拶を返す。
逆に、今度はドラゴン達がロモソルーンを見るなり意味ありげな顔をして、シャラシャラと鱗を鳴らしだした。