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アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆◆◆15

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シェルの胎の中でゴポリと音がして、激しい快楽でシェルの視界がグルリと回った。
激しい快楽に酔いながら、明らかにいつもと違うロモソルーンの様子を見て、歌わなければ、と思った。
ロモソルーンは絶対に、今、何かをしようとしている。多分ソレは、ロモソルーンにとって、いや、二人にとってとても大事な事なのだ。

 絶望の淵 欠乏の人
 天使はいない

シェルの躰は余りの強烈な快楽で、最早、寒くも無いのにカタカタと震えていた。
シェルは最早周囲の様子なんて気にしている余裕もも無くなっているが、二人の周りを飛んでいる金色の粒はアチコチで集まっては弾けてを繰り返していた。
弾けた金色の粒は霧の様にシェルやロモソルーンの躰に降り注ぎ、そして吸収されていった。

 照らせ 照らせ
 灯りは己のてのひらの中

一段と光が弾けて二人に降り注いだ。
「ヴヴッ」
ロモソルーンがうなり声を上げた。
シェルの中を擦るロモソルーンの動きが段々早くなっている。
「シェル、歌って。無理しなくて良い。けど、歌える所まで歌って」

 悲しい悲しい冬の果て

一瞬、セイラの脳裏に、ダコタの奴隷教育の記憶がよみがえった。
「シェル」
ロモソルーンの声で辛うじてそれが幻覚だと理解できた。


 絶望の淵 欠乏の心
 ことわりはない

涙が勝手に出てきた。
体の震えの原因が、快楽から恐怖に変わった。
目に写る景色は金色の粒とロモソルーンなのに、脳裏で再生されるのはあの過去の記憶。
『ギース』と叫びそうになってあわてて自分を止めた。
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