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アッシュレアの敵討ち

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当然と言えば当然な話だが、その日の夜のシェルは、酷い状態だった。
ロモソルーンが気を利かせて、早くにシェルと住みかに帰って来たので実物は見ていないが、主戦力のロモソルーンの唯一の世話係という立場上、事件の詳細は竜騎士団からの連絡で聞かされてしまった。
話を聞いたシェルの脳裏に過ったのは、両親を殺された時の光景とゴブリンに襲われた時の事だった。
竜騎士団から来た通達係が帰って、ロモソルーンと二人だけになったシェルは、床に座り込んだまま動けなくなってしまった。
怯えた様に両足を抱えたままうずくまり、時々声も出さずに涙だけボロボロと流したり、体を意味も無く揺らす。『夕飯をつくる』と言って台所に立つものの、包丁が握れず、床にへたり込んでしまった。
ロモソルーンが魔法を使って、何とか人でも食べれる物を用意したが、無理やり食べても直ぐに吐いてしまって飲み物すら受け付けなくなってしまった。
まるでゴブリンの巣穴から生還した直後のシェルに戻ってしまった様だった。
夜遅くになっても、シェルの状態は回復する様子は無かった。
連絡係の話では、明日こそ件のゴブリンの巣穴を殲滅するので世話係から魔力を補給しておく様にとの話だったが、とても今のシェルはそんな事望める様な状態ではない。
「シェル、もう眠ろう。明日は討伐だ。朝も早い」
ロモソルーンは心配してもう就寝しようと言ったのに、『明日は討伐』というロモソルーンの言葉を聞いてシェルが連絡係の言っていた『念の為、魔力を補給しておくように』という言葉を思い出してしまった。
「ごめん、魔力の補給しなくちゃね、いくらゴブリンが相手でも、どんなトラブルが潜んでるか分からないものね」
そう言って、シェルは心配してシェルを覗き込んで来たロモソルーンの嘴に顔を寄せた。
『そんなつもりで言ったんじゃない』と言って、ロモソルーンがクルクルと喉を鳴らして困り顔になった。


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