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アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆16

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別に世間話をするわけでもない、朝の挨拶をするようになった。それだけ、だが俺はこの八年、その一言が聞きたくて、今日も元気にあの子が生きてるそれを確かめたいが為だけに生きてきたんだ。
 この八年、誰に蔑まれようとも、時折質の悪い酔っ払いに乞食扱いされようとも耐えて、門番をして来たんだ。
 今は独り身だけれども、その内恋人を連れてあの門の前を歩くかもしれない、門から見える教会で、花嫁衣裳を着て誰かと永遠の愛を誓う幸せな姿が見れるかも知れない、その内彼女と彼女の子供が手を繋いで幸せそうに歩く姿が見れるかも知れない、それだけを楽しみに俺はずっとこの八年生きてきたのさ、この八年俺にとってあの子は太陽だった。死んだ部下達に悪夢でなじられ死にたいとすら思った夜も、あの子を守るんだってその気概だけを理由に乗り越えられた。それをあんなクソどもに!」
呆気にとられて聞いているルメラに構わずタヨタは話し続けた。
ルメラの周囲にはいつの間にか、広場にいた他の者達も集まって来ていた。
ファーファナルは訳知り顔で、ルメラとタヨタの間で座っている。トホスマ・スダと国王である竜王がいる国の中心部は片足片腕のタヨタが一人で行ける距離ではない、恐らくファーファナルが国王の所までタヨタを運んだのであろう事は容易に想像出来た。
「ミレニアがどんな目に合ったと思ってるんだ?それを討伐隊の先駆けを務めるだけでチャラだと!?許せる物か!!」
そう言って、悔しそうに持っていた剣で土を突いた。
「な、何も、親まで殺す事は無いじゃない?」
ルメラがそう責めたが、タヨタが頷く事は無かった。

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