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アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆15

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「たまたま手向ける為に用意した花が少し多すぎてな、気まぐれに一人墓の前で野菊を墓に備えていた子供に上げたんだ。それがミレニアだった。
 『おじさんも家族が無くなったの?』そう聞かれたよ。子供に詳しい話をしても仕方あるまい、俺は適当に『そうだ』と答えた。そうしたらな、ミレニアは俺の事を知っていたんだよ。
 『私、おじさん知ってる。いつも森の入り口を睨んで立ってる門番のおじさんでしょ?』そう言って笑ったんだ。 
 驚いたよ、俺は別に門番をしていたワケじゃなくて、魔獣に連れ去られた部下が、何か奇跡が起きて一人でも良いから森から戻って来ないか縋るような気持ちで毎日町の入り口で森を見ていただけなんだからな、同時に猛烈に恥ずかしくってな。返事に困っていると、それをミレニアは肯定ととったらしくって笑顔で言ってくれたんだ。
 『おじさんが門を守ってくれているなら私達も安心ね。いつも有難う』だってよ。俺は何だか、俺はなんだかそれで救われちまって、ミレニアが去った後、一人であの子の両親の墓に頭擦り着けて泣いたよ。あの子残してくれて有難うございますってな。
 その事があってから俺は、あの子が安心して暮らせる様にあの子の為だけにこの町の門番をしてたのさ。ゴブリン数匹位なら義足と片手のレイピアで今の俺でも殺せる。大物が来たら叫べば俺が食われている間にドラゴンが何とかしてくれるだろう、そう思って暇が有れば町の門でつぐんでたのさ、特に早朝はな、その墓での一件以来ミレニアは挨拶をしてくれる様になったのさ。『お早うございます』って笑顔でな、一言だけだ。
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