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アッシュレアの敵討ち
◆◆◆◆12
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「タヨタ、その、手足は?!」
ルメラが驚いてタヨタに駆け寄ろうとして、躊躇った。
逆光の影響が無い所までタヨタに近づいてみれば、タヨタはおびただしいと言える程の何かの汚れに塗れていた。
どす黒く、頭も顔も両手足も胴体にも、頭から黒い液体を被ったみたいに汚れていた。
その汚れは、ルメラには乾いた血に見えた。
ファーファナルの言葉がルメラの脳裏によみがえった。
『そうか、やったのか』ファーファナルはさっき確かにそう言った。
目の前には六人の無残な亡骸。
今のタヨタならいざ知らず。現役の竜騎士だった頃のタヨタなら、この殺戮も可能の様に思えた。
戸惑うルメラと視線が合ったタヨタが血濡れのまま、目をギラギラさせてニヤリと笑った。
「この手足か?国王と契約した」
タヨタは自慢げに言った。
魔法に長けたドラゴンは、手足を失くした人間や他の動物に、動く偽物の手を作って着ける事が出来る。
しかし、それには物凄く大量の魔力が必要な為、ある特別な契約を結ばないと、使って貰えない事になっているし、その契約内容は、契約を望む者が沢山出そうな職業の男、特に竜騎士になるような戦うのが好きな男にとって、耐えがたい内容だった。
実際。今までただ四肢を取り戻したいというだけの理由で、ドラゴンとその特殊な契約を結んだ者はいない。
「なぜ?」
間髪入れずに問い詰めるルメラをタヨタは鼻で笑って言った。
「復讐する為に決まっているだろう」
憎しみの籠もった獰猛な笑い方だった。
ルメラが知る限り、タヨタは非常に大人しい人間だった。
ルメラが驚いてタヨタに駆け寄ろうとして、躊躇った。
逆光の影響が無い所までタヨタに近づいてみれば、タヨタはおびただしいと言える程の何かの汚れに塗れていた。
どす黒く、頭も顔も両手足も胴体にも、頭から黒い液体を被ったみたいに汚れていた。
その汚れは、ルメラには乾いた血に見えた。
ファーファナルの言葉がルメラの脳裏によみがえった。
『そうか、やったのか』ファーファナルはさっき確かにそう言った。
目の前には六人の無残な亡骸。
今のタヨタならいざ知らず。現役の竜騎士だった頃のタヨタなら、この殺戮も可能の様に思えた。
戸惑うルメラと視線が合ったタヨタが血濡れのまま、目をギラギラさせてニヤリと笑った。
「この手足か?国王と契約した」
タヨタは自慢げに言った。
魔法に長けたドラゴンは、手足を失くした人間や他の動物に、動く偽物の手を作って着ける事が出来る。
しかし、それには物凄く大量の魔力が必要な為、ある特別な契約を結ばないと、使って貰えない事になっているし、その契約内容は、契約を望む者が沢山出そうな職業の男、特に竜騎士になるような戦うのが好きな男にとって、耐えがたい内容だった。
実際。今までただ四肢を取り戻したいというだけの理由で、ドラゴンとその特殊な契約を結んだ者はいない。
「なぜ?」
間髪入れずに問い詰めるルメラをタヨタは鼻で笑って言った。
「復讐する為に決まっているだろう」
憎しみの籠もった獰猛な笑い方だった。
ルメラが知る限り、タヨタは非常に大人しい人間だった。
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