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アッシュレアの敵討ち

◆◆◆◆4

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ヴェスカのノックに返事をする者は居なかった。
「変だな、オルクの所にはオルクがいなくとも小間物屋を営む母親がいる筈なんだが」
朝市に行っているなら商品を積む荷車が無いハズだが、荷車は空のまま扉のついていない小屋の中に有る。
もう一度ノックしたがやはり返事は無かった。
後ろの通りすがりの男がソワソワと様子を伺っている。
「俺、二回扉叩いたけど、返事無かったよな?ちょっと扉開けるけど、ちゃんと入る前にノック二回もしたよな?」
っと確認とって扉を開けようとノブを捻ったとたんに扉が内側から開いた。
扉が開いたとたんに、ドシャッっという変な音と共に血まみれの女の上半身が開いた扉の間から零れ出て来た。
一拍の後、
「うわぁぁぁぁ!」
様子を見ていた男が悲鳴を上げて腰を抜かした。
「うわっ」
ヴェスカも思わず声を上げて後ずさる。
「何だ・・・これは、オルクの、母親?」
ヴェスカがオルクの母親とした、扉の間からこぼれる様に出てきたソレは、余りにも変わり果てた姿で、ヴェスカは自分の目を疑う程だった。
「おい!」
ヴェスカは惨状に慄きつつも、後ろで腰を抜かしている男に大声で呼びかけた。
『ひぃ』とも『ひゃぁ』とも聞き取れるようなよく分からない声を上げて男が一応返事をした。
「這ってでも良いから人呼んできてくれ!出来ればドラゴンや竜騎士が良い、俺は中を調べる」
男はガクガクと首をたてに振って、生まれたての小鹿の様な、バタバタヨロヨロとした足取りで、逃げ出す様に離れて行った。
ヴェスカは、顔を引き締めて家の中を睨みつけると、オルクの母親の亡骸を脇に寄せて、家の中に入って行った。

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