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乙女の祈り乙女の怒り
◆◆18 回想ミレニア
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アッシュレアがルメラに呼ばれて再び診察室に入った時は、もう治療は終わっていた。
さっきまで気丈に振舞っていたミレニアが、診察台の上で膝を抱えて俯いている。
つま先同士を重ねて膝をきつく抱え、その膝に顔を埋めていた。
アッシュレアがふと診察室の洗浄台を見ると、アッシュレアでさえ滅多に見ない、女性向け専用の検査器具が置かれていた
その異様な空気に、アッシュレアが一体ミレニアに今日本当は何が有ったのか察した。
まさか。
「ルメラ先生」
「褒めてあげて」
ルメラに合話しかけたアッシュレアを、ルメラが叱る様に言い含めた。
「そんな事に感づく前に褒めて抱きしめてあげて物凄く頑張ったのその子」
「そ・・・・そっか」
言われて慌ててアッシュレアはミレニアに駆け寄った。
そうっと腕を伸ばしてそっと抱え込んだ。
ミレニアは虚ろな目の侭、されるがままになっていた。
「怖かったね、頑張ったね」
そう、アッシュレアに言われて、やっとミレニアは体の力を抜いて、アッシュレアに抱き着て来た。
アッシュレアがミレニアを抱きしめたまま呆然とルメラを見つめると、
ルメラは厳しい顔で首を振って、
「身もごった心配だけは無いわ」
と、言うなり近くにあった金属製のゴミ箱を力いっぱいけ飛ばした。
「クソったれが!」
アッシュレアの腕の中のミレニアがビクリと震えて、とうとう涙を零し始める。
「ちょっと、医者としてナシ付けに言って来るわ、貴方達、今日は泊って行って」
そう言ってルメラが診察室を出ていくと同時にミレニアが『わっ』っと泣き出した。
「ああああ、わああああぁあ!」
アッシュレアが慌ててミレニアを抱きしめ直す。
「ミレニア・・・」
「うわぁぁぁぁあっ」
子供の無き方だった。
十一歳の、子供の鳴き声だった。
さっきまで気丈に振舞っていたミレニアが、診察台の上で膝を抱えて俯いている。
つま先同士を重ねて膝をきつく抱え、その膝に顔を埋めていた。
アッシュレアがふと診察室の洗浄台を見ると、アッシュレアでさえ滅多に見ない、女性向け専用の検査器具が置かれていた
その異様な空気に、アッシュレアが一体ミレニアに今日本当は何が有ったのか察した。
まさか。
「ルメラ先生」
「褒めてあげて」
ルメラに合話しかけたアッシュレアを、ルメラが叱る様に言い含めた。
「そんな事に感づく前に褒めて抱きしめてあげて物凄く頑張ったのその子」
「そ・・・・そっか」
言われて慌ててアッシュレアはミレニアに駆け寄った。
そうっと腕を伸ばしてそっと抱え込んだ。
ミレニアは虚ろな目の侭、されるがままになっていた。
「怖かったね、頑張ったね」
そう、アッシュレアに言われて、やっとミレニアは体の力を抜いて、アッシュレアに抱き着て来た。
アッシュレアがミレニアを抱きしめたまま呆然とルメラを見つめると、
ルメラは厳しい顔で首を振って、
「身もごった心配だけは無いわ」
と、言うなり近くにあった金属製のゴミ箱を力いっぱいけ飛ばした。
「クソったれが!」
アッシュレアの腕の中のミレニアがビクリと震えて、とうとう涙を零し始める。
「ちょっと、医者としてナシ付けに言って来るわ、貴方達、今日は泊って行って」
そう言ってルメラが診察室を出ていくと同時にミレニアが『わっ』っと泣き出した。
「ああああ、わああああぁあ!」
アッシュレアが慌ててミレニアを抱きしめ直す。
「ミレニア・・・」
「うわぁぁぁぁあっ」
子供の無き方だった。
十一歳の、子供の鳴き声だった。
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