闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

乙女の祈り乙女の怒り

◆◆１４ 回想ミレニア

あの時扉が開かなかったら、自分はどうなっていたのだろう？
ミレニアは、ふいに今日あった事を思い出し、涙が出て来た。
慌てたのはアッシュレアだ。
今日、ミレニアに何が起きたのか未だ知らないアッシュレアは、目の前の幼い女の子は両親を恋しがって泣き出したのだと思った。
『しまったぁ！適当に時間が癒してくれるわとか言って誤魔化せば良かった！私のバカ！』とか思いながら何とか泣き止ませられないか思考をフル回転させた。
「そうだ！ミレニア、私達、天涯孤独同士、二人に新しい家族が出来るまで家族って事にしない！？」
とっさに出た言葉だった。
その場しのぎの勢いで言った。
しかし、効果はテキメンだった。
ミレニアは泣き止み始め、アッシュレアの提案に興味を示した。
「おばちゃんと私が？」
「そう！親子でも姉妹でも良いけど、私としては自分は独身だし、別に生涯独身貫くつもりも無いから変な誤解されない様に姉妹って事にしてくれると嬉しいな！どう？」
「姉妹・・・」
「そう姉妹、ね、『アッシュレアお姉ちゃん』って言ってみて？」
「アッシュレア、おねぇちゃん？」
「そうよー！あらー、思った以上に嬉しいものね！こんな可愛い妹が出来たなんて、今日は何てラッキーな日かしら？いっそずっと姉妹って事にする？」
ボロボロにされていたミレニアの心は、アッシュレアの快活で明るい力強さに縋すがった。
「うん！」
ミレニアが頬を染めて嬉しそうに頷く、笑顔はぎこち無かったが、涙は止まっていた。