闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

鈴紐屋 小説:恋川春撒 絵・漫画:せつ

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落ち葉と魚

◆◆14

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「気に入った。というか、見たことの無い鉱石なので、トホスマ・スダで取れない鉱石があるなんてと思って・・・。」
確かに、シェルもロモソルーンの瞳と似た色に惹かれて手に取ったものの、値段も分からず欲しいなんて言えないので誤魔化した。
今言った言葉にも嘘は無い。その石は、今までシェルが見たどの宝石とも違っていた。
見た事が無い宝石のハズだ。
・・・・しかし、何処かで見たことが有る気もするのだ。
ロモソルーンの瞳の色に似ているので、そのせいかも知れないが・・・・。
「これはチェチェイカで仕入れて来たんですがね。ほら、あそこ、火山が近くに有るからダイヤやその他色々採掘すると出てくる所が有るんですよ。イエイエこの御国程では無いですがね。採掘屋の話だとこの石は最近チェチェイカの山脈で見つかるって話でした。」
シェルは改めてその石を見た。
小さな雫型のその石はトホスマ ・スダで採れるどの宝石とも違うのに、どこかで見たことが有る気がしたのだ。
そしてロモソルーンの瞳を見て思い出す。
「・・・・・あ・・・これ、魔石だ。!」
「え!?」
間違いない、トホスマ・スダの人工魔石は皆大きいのに比べて、ペンダントの石は酷く小い上に宝石として加工されていたので気が付くのに時間がかかったが、それは間違いなく魔石だった。
「店主さん、これは売らない方が良いと思いますよ。この魔石、中に入ってる魔力は人間の物ではないです。いえ、色々混ざってるな・・・・ドラゴンの魔力も混ざっている。ゴブリンはきっとこの魔石のドラゴンの魔力を感知して怯んだんじゃないかな。」
「なんと・・・・。私はこんな小さな石に命を救われたのか・・・・・。」
シェルが店主に石を返すと店主は呆然としながら石を握りしめた。
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