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落ち葉と魚
◆◆12
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「・・・琥珀・・・かな?」
手に取り灯りの光に透かして見るが、琥珀にしては混ざり物が無いし、かといって鼈甲にしては質感が固すぎる。
雫型に細かく多面にカットされたその石は、光に透かされてキラキラと美しく輝いていた。
濃いめの蜂蜜色の中に針の様に細く黒い結晶が何本も混ざっている。
見た感じはやはり琥珀が一番近い様に見えた。
琥珀にしても手触りは硬質過ぎるが。
「お気に召した物がおありですか?」
中から包帯だらけの男がノッソリと出てきた。
骨が折れた様な深刻な傷は無いが、とても客商売で店先に立って良い傷には見えない。
どうやら新しい怪我の様で包帯からは所々で血の染みが出来ていた。
なんの傷だろうと眉をひそめるとそれに気が付いた男が笑って言った。
「森を渡って来たんですけどね、道中魔石を一袋盗まれまして、途中で魔獣避けの魔法が切れてしまって、ゴブリンの集団に襲われたんです。谷の直前だったので何とか逃げ切れたのですがこのザマで・・・」
「ゴブリンの集団に襲われて!?・・・よく生きて・・・・!」
ゴブリンは一匹一匹は弱い魔獣だが、獲物を定めて集団で襲う時のゴブリンの手強さは少数の時とは比べ物にならない。
「荷物を盾にしながら逃げおおせました。・・・生きた心地がしませんでしたよ・・・この谷の近くだったという事も幸いしたのでしょうね。何かに用心している様子があったのできっとこの谷のドラゴンの気配に恐れをなしていたのでしょう。」
品物の多くを失いましたがね。っと悔しそうな顔をして、それでも笑って引っかき傷だけで済んで運が良かったと笑った。
「町医者のルメラに受信されましたか?治癒魔法をかけてくれるハズですが?」
手に取り灯りの光に透かして見るが、琥珀にしては混ざり物が無いし、かといって鼈甲にしては質感が固すぎる。
雫型に細かく多面にカットされたその石は、光に透かされてキラキラと美しく輝いていた。
濃いめの蜂蜜色の中に針の様に細く黒い結晶が何本も混ざっている。
見た感じはやはり琥珀が一番近い様に見えた。
琥珀にしても手触りは硬質過ぎるが。
「お気に召した物がおありですか?」
中から包帯だらけの男がノッソリと出てきた。
骨が折れた様な深刻な傷は無いが、とても客商売で店先に立って良い傷には見えない。
どうやら新しい怪我の様で包帯からは所々で血の染みが出来ていた。
なんの傷だろうと眉をひそめるとそれに気が付いた男が笑って言った。
「森を渡って来たんですけどね、道中魔石を一袋盗まれまして、途中で魔獣避けの魔法が切れてしまって、ゴブリンの集団に襲われたんです。谷の直前だったので何とか逃げ切れたのですがこのザマで・・・」
「ゴブリンの集団に襲われて!?・・・よく生きて・・・・!」
ゴブリンは一匹一匹は弱い魔獣だが、獲物を定めて集団で襲う時のゴブリンの手強さは少数の時とは比べ物にならない。
「荷物を盾にしながら逃げおおせました。・・・生きた心地がしませんでしたよ・・・この谷の近くだったという事も幸いしたのでしょうね。何かに用心している様子があったのできっとこの谷のドラゴンの気配に恐れをなしていたのでしょう。」
品物の多くを失いましたがね。っと悔しそうな顔をして、それでも笑って引っかき傷だけで済んで運が良かったと笑った。
「町医者のルメラに受信されましたか?治癒魔法をかけてくれるハズですが?」
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