闇夜の星 暗闇の燈火(やみよの ほし くらやみの ともしび)

落ち葉と魚

◆◆８

「シェル君は、ロモソルーン様の事を『たった五歳』『たった五歳』と言うけれど、ドラゴンの成長がとても速いのは君も知っているでしょう？五歳は成獣になれる年よ？そもそもの誕生の時からして全く人間とは比べ物にならない身体能力と判断力、思考能力を持っているのに無理矢理人間の成長レベルに当てはめるのはナンセンスだわ。私は今まで様々なドラゴンを見聞きしてきたけど、ドラゴンてドラゴン同士でさえ卵から孵った段階で１０歳以上の成長差が有ると思うの。特にロモソルーン様の場合なんて他のドラゴンが孵った時と比較するとその成長具合は異常に発達していたわ。シェル君、私はあなたがロモソルーン様を卵から孵したと聞いた時、一体どんな魔力をロモソルーン様に与えて卵から羽化させたのかしらと思った位よ。」
心底興味深い物を見る様にロモソルーンを眺めながらルメラがシェルをさとす。
ロモソルーンはロモソルーンで今のところルメラとシェルの会話を邪魔する気は無い様で、自分の中の常識を覆されて困惑中のシェルの様子を伺いながらも嘴でシェルの髪を戯れに摘まんでは離したり鼻息で飛ばしたりして暇をつぶしていた。
考え込みながらもそんなロモソルーンの首や頬をさすり撫でるシェルに満足そうに目を細める。
「そんな・・・いえ・・・それはそうですが・・・・」
確かに、他の世話係やドラゴン達の話を聞くと、卵から孵ったその瞬間からシェルの閉じ込められていた檻をまるでチョコレートか溶けかけたキャラメルをかじるみたいに食べ、あげく物音を聞きつけてやってきたゴブリン達を炎で焼き払い、腹に収め、一匹残らず殲滅したロモソルーンの発達度合いは規格外だ。