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星空

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真夜中に起きてしまった時の為に小さく着けておいた灯りの光をロモソルーンの漆黒の鱗に映り込んでいる。
映り込んだ光はロモソルーンの呼吸に合わせて揺らめいて、まるで星の瞬きの様だ。
ロモソルーンの暖かい腹に凭れながらシェルはポツリポツリと話し出した。
「僕ね、奴隷落ちさせられる時にその・・・なんていうか酷い恰好でロバに跨いだ格好で括り付けられて町中を引き回されたんだ・・・」
ピクリとロモソルーンの眉間に皺が寄る。
「奴隷落ちのヤツは皆そうさせられるんだよ。僕の故郷はロバは物しか載せない決まりなんだ。だから皆一目で昨日まで普通に話していた相手でも奴隷落ちだって分かる。死刑囚だって馬だからね。」
奴隷は死刑囚以下の身分扱いなのだとシェルは自虐的に笑った。
「今まで手に入れた物は全部取られるんだ。両親が買い与えてくれた何もかも、そして奴隷用の服を着せられる。下働き用の奴隷は小麦を入れていた古い麻布で作ったローブを、土木作業なんかの為の奴隷は丈夫なズボンと一応足を怪我しない程度の靴を履かされる。僕は・・・僕はさ・・・その・・・夜の慰み者の奴隷だったから酷かったよ・・・」
投げつけられる汚物で汚れて体が隠れるのが有難い位だったよ、と・・・自嘲気味に笑って見せた。
「ブルッ」
ロモソルーンは憤りを抑えきれず鼻を鳴らした。
「ふふふ・・・もう終わった事だよ。ただ・・・その時は秋も終わりに近くて天気も霧雨で本当に気が遠くなるほど寒くてね。・・・せめて星空が見えていたら良いのに、って思ったんだ。」
涙で濡れたシェルの瞳がじっとロモソルーンを見つめる。
寄りかかるロモソルーンの腹はいつも通り暖かくて安心で・・・。
灯りが映り込むロモソルーンの体は矢張りあの時見たかった夜空の様に綺麗だと思った。
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