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星空

◆◆2

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それは、雪が降る季節になる一歩手前の、凍える程冷たく町の街頭の光も歪む程激しい雨の降る夜の出来事だった。
半年前から薬屋を営む家に出入りする様になった騎士団の団長、副団長、特攻隊長が三人そろって家に来た。
特攻隊の隊長が来る事は珍しいので驚きつつも国民の誉れと謳われる騎士団の花形三名のそろい踏みに幼いシェルの心は踊っていた。
明日学校で友達に自慢したらきっと羨ましがるに違いない。
シェルの故郷のリンドウ王国では騎士団は全ての職業の頂点とされていた。
誉れ高き国王様を己の命を賭して守る英雄。
特に男子からの人気は絶大でいっそ宗教に近かった。
リンドウ王国に生まれた男子で騎士を夢見ない者は居ない、そう言われる位の存在だったのだ。
少年期に入り始めたばかりのシェルがそんな職業の花形三人の訪問に浮かれない訳が無かった。

その日の騎士達の様子はいつもの買い物に来る時の様子と打って変わった、実に威圧感の有る表情と井出達だった。
騎士達は昼の日の高い時刻に来てそれを見た父親は直ぐに店を閉めた。
シェルも二階の自室へと追いやられ、子ども扱いされ爪弾きにされた気分になったシェルは不貞腐れていた。
両親と騎士達は真夜中まで話し込み、待ち疲れたシェルが珍しく父の言い付けを破り、忍び足で階段を下りてきて両親達のいるリビングの様子を伺おうとした正にその時の事だった。
騎士団長の声がした。
「では、どうあっても我々の要請は聞き入れてもらえないのだな」

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